トルコにクーデター未遂事件があった。新聞記事にもあったように、計画が稚拙だったようだ。怒り狂った大統領は反体制派を一掃しようとしている。欧米はトルコが暴走しないようにと必死なようだが、切り札がない。どうも政策が行き詰まっている。
「そんなに行いが悪いようなら、EUに入れてやんないよ」と脅しているが、EUの魅力度はイギリスの離脱によって大きく後退したようで、効き目がみられない。そもそもトルコはEU加盟に待ちぼうけを食らわされていたのだが、今となっては逆に、「入ってやんないもんね」という立場になったようだ。
トルコはイスラムの国である。唯一といっていいほど、イスラムの中の先進国である。マレーシアよりも進んでいて、日米欧に近いだろう。もちろん、インドネシアとは比べ物にならない。とはいうものの、これまでのトルコ経済や政治を振り返ると、危うさがつきまとっている。
昨年、初めてトルコを訪問した。いい国だった。文化度も高い。しかし、トルコに投資するのか、はたまたトルコリラで財産を持つかと問われれば、僕としてはノーである。信頼性に乏しい。
実のところ、ブラジルも民族の性格上、危うい国だと思いつつも、資源があるからと多少のポジションを持っている。その結果は、大損である。トルコの場合、ブラジル的な資源がないだけに、リスクはより高いだろう。
それで、EUだが、そんなトルコにも逃げられつつあるから、どう考えてもEUの世界的な地位が低下したのは明らかだ。今後のEUは、ドイツがどれだけ頑張るかに依存している。
それにしても、安心できる国がなくなりつつあるのは、個人投資家として痛手である。今後は、ユーロに投資するというよりも、ヨーロッパの個別企業に投資するつもりでいなければならない。
2016/07/20