川北英隆のブログ

中国の公共事業の今はいかに

7/15、中国の4-6月期の実質GDP(国内総生産)が公表された。前年同期比6.7%の成長とのことだった。これには「そんなもんやろ」「どの程度数字を作ったのかな」程度の感想しかなかった。驚いたのは、当日の日経新聞の夕刊にあった固定資本投資の図である。
この図も前年同期比なのだが、民間企業は急速にゼロに接近しているのに対し、国有企業が20%以上に達している。この国有企業の努力により、GDP成長率が何とか国家目標値圏内にある。もちろん、公務員の筆先の努力もあるのだろうが。
それはともかく、グーグルマップを適当な縮尺で開けてみるのがいい。中国において、道路網が(それも高速道路網が)いかに整備されているのかが判明する。まさに「碁盤の目」である。ヨーロッパやアメリカでも、これ程の壮観はない。
実は、5月に雲南省に入った時、高速道路の工事がいたるところで行われていた。交通渋滞しているわけでもないのに、道路の拡張、新設が進んでいる。公共事業だらけと表現してもいい。
ラオスとの国境までの高速道路の新設は、中国の拡張主義を象徴しているだろう。ラオスへ、タイへと高速道路の延伸を狙っている。グーグルマップで確認すると、ベトナムとミャンマーの国境まで、すでに高速道路が完成している。南側の国境で残っているのはラオスとネパールである。このうちラオスは完成直前、ネパールは計画がある。なお、ブータン、インド、パキスタンとは国境が定まっていない。紛争の強いブータンやインドはしばらく手がつけられないだろう。
そこで思うのは、南シナ海の問題も、中国にとっては格好の公共事業対象なのかもしれない。いずれにせよ、これらの公共事業がどこまでペイするのか。つまり、資本効率が悪ければ、結局のところ中国政府自身の不良資産となりかねない。

2016/07/17


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