今日、某ファンドのポートフォリオを議論していて気になったのは、株式投資の目的である。新聞などでは「配当」の文字が躍っている。1980年代、「値上がり」の文字が躍ったのと好対照である。
何度か書いたように、株式に投資したとして、投資家として嬉しいのは(税制上の取扱が等しいとして)、配当で現金をもらうことであり、同時に株価が値上がりすることでもある。2つが同時に達成できれば至福なのだが、多くはどちらか1つだろう。この点はアメリカ市場において歴然としている。
機会あるごとに言っているのだが、アメリカではグーグルもアマゾンも無配当である。しかし、企業は儲かり、株価は上昇を続けている。かつてのマイクロソフトも、少し前までのアップルもそうだった。
企業として大儲けできる新規事業があるのなら、株主として、配当でちまちま現金をもらうよりも、値上がり益でがばっともらうほうが嬉しい。グーグルやアマゾンは、現在も後者の夢の実現を続けている。当然ながら、今後については保証の限りでないが。
逆に、企業として儲かる事業がないのであれば、儲けを内部留保し、さらに儲からない事業に投資してもらうよりも、株主としては配当として支払ってもらうのが理想である。
これだけのことである。配当か内部留保か(それを使った投資か)、この選択は企業ごとに考え、判断すべきである。一律の答えはない。
まとめると、配当をする企業はすばらしいという評価は、アホでしかない。企業の状況をじっくりと見て判断しないと、誤ってしまう。配当をもらわなくても、儲かればいいだけである。新聞のアホな論調に感化されてはいけない。自分の立場で考えるのが正しい。
2016/08/02