結局のところ今シーズンの北アルプス、奥大日ヶ岳は諦めた。来年の7月、夏休み前にできれば入りたいと思う。その代わり、丹波の盟主と称される長老ヶ岳に登ることにした。
最寄り駅は山陰線の和知である。京都から見て園部の奥、綾部の手前である。和知は由良川の流域にあり、亀岡が桂川の流域であるのと地理的に異なっている。
それはともかく、和知駅から登山口、仏主(ほどす)まで相当の距離がある。タクシーを使うと5000円を超えるのは間違いなさそう。「車を持ってないし、その維持費を考えるとタクシーも仕方ないか」と一度は思ったものの、最近の田舎には公営のバスが走っている。そこで調べたところ、平日に8時3分発というのがあった。ちょうど山登りにいい。そこで、年金生活者の特権で、平日に長老ヶ岳を狙うことにした。
京都駅6時37分発に乗ると和知に8時ちょうどに着く。片道970円しかしない。運賃が安い割に時間がかかるのは、園部から先が単線だから。沿線(亀岡)では北陸新幹線の誘致をしていたが、「新幹線より、山陰線の複線化の方が効果あるやろ」と思ってしまった。
乗車するに際して気をつけないといけないのは、スイカやイコカで京都駅の改札を入ると、和知で現金採算となり、手間取ることである。町営バスの接続に時間が少ないから、京都から切符を買うのが手間いらずでいい。
和知駅の改札を出ると広場があり、そこに町営のバスが待っていた。普通の路線バスと同じ大きさなので一瞬乗るのを躊躇してしまった。そこへ運転手が缶コーヒーを片手にやってきた。「乗ってください」「ところで仏主まで」と質問される。僕以外に乗客がいなかったので、「そう、すみません」と答えた。
このバス、町の奥から中学生を運んできて駅近くで降ろしたのだろう。とすれば、帰りは乗客なしでも仕方ないはずだとは思うものの、やはり1人で乗るには気が引ける。
25分近くで仏主に着いた。運賃は400円だった。
「帰りはどうするの」と質問されたものの、はっきりとは決めていなかった。長老ヶ岳に登り、そのまま南西の尾根を縦走して和知の手前で町に下りるのが計画だったが、本当に縦走できるのか(ちゃんとした踏み跡があるのか)ガイドブックがないので不明だった。このため、曖昧に答えざるをえなかった。
2016/09/30