この2つの国と地域は隣接している。ルワンダは日本の1/14程度の面積の国である。コンゴ東部の居住地はこのルワンダに引っ付いている。ともに高度1000メートル以上中心に広がっている。それなのに違いがある。
片やルワンダはアフリカの奇跡とも呼ばれるくらい、1990年代の大虐殺の時代を乗り越えている。これに対してコンゴ東部は反政府集団がいて、中央政府との紛争が収束していない。国連軍が駐在を続けているのがその証拠である。
コンゴ東部は農業的に、また金属鉱産物が豊かである。国境を接するルワンダも、コンゴほど鉱物資源に恵まれていないものの、やはり資源がある。ちなみに、ルワンダはキブ湖から天然ガスを採掘している。
思うにコンゴの東部と中心部とでは、潜在的な豊かさに大きな差があるのだろう。だから、コンゴ東部は独立志向が強い。そもそも、コンゴ全体がベルギーから独立する時に、東部は単一国家の形成に反対していたと聞く。
アフリカの国境とは、ヨーロッパ諸国の利権に基づいて形成されたものでしかない。コンゴ国内を東から西に移動するのは容易でないから、1つの国ではなかったはずである。
ルワンダがベルギーを嫌っているように、ベルギー統治時代の正の遺産はビールと食事しかないのではないか。そう思えるほどに、コンゴ東部の一般の生活状況に反してビールは豊富である。食事も、ホテルのレストランでの経験がほとんどであるが、美味かった。
話は少し逸れたが、ルワンダとコンゴ東部の生活の差は歴然としている。
道路の話は最初に書いたように、幹線の舗装が完成しているルワンダと、幹線でさえこれから舗装のコンゴ東部との差がある。
市場の状況は、ゴマやブカブの都市部でさえ雑然としていて、何が売られているのか判然としない。写真はゴマの中心部である。こんな雑然さが中心部の至る所で見られる。我々からすると、何故多くの人が集まるのか理解が難しい。これに対してルワンダの首都キガリには高級スーパーさえある。帰国直前、そこで買い物をした。
国民所得はというと、コンゴ(コンゴ民主共和国)は1人当り484ドル、ルワンダは645ドルである。見た目は、この差よりも大きい(そもそも統計の正確性、捕捉率の問題がある)。
ルワンダは農業中心の国なので、多分格差は大きくない。これに対してコンゴは国民所得に占める鉱産物の割合が高いから、格差も大きい。また、道路などのインフラは中央政府の能力の差だろう。ルワンダの場合、中国が幹線道路の工事をしていた。コンゴ東部でも中国の業者が入っているが、実働しているのかどうか不明だった。
以上、いろいろ考えながら書いていると、暗黒大陸アフリカという表現を思い出してしまう。経済に関して、実態の把握が難しく、国や地域での格差が大きいという意味で、アフリカは依然として暗黒なのではないか。
2016/09/02