川北英隆のブログ

桃を食べて母の実家を思い出す

今年は何回か桃を食べた。桃は当たり外れの大きな果物である。子供の頃、親戚からもらった桃にも不味いのがあった。今年食べた桃にも、そこまで外れはなかったが、少し水臭いのも混じっていた。
今日食べた桃は外れではなかった。産地は聞いていない。多分、今年最後の桃だろう。その桃を食べながら、子供の頃、夏休みに母の実家に帰っていた時、こっそり食べた桃を思い出した。
近くの池に母に連れられて遊びに行った帰りだったと思う。大きな池なので、小学生の頃は一人で行った記憶がない。そんな帰り、今ほど夏は暑くなかったとはいえ、1時間以上も炎天下を歩くと喉が渇く。
と母親が、「ここは実家の桃畑や、美味そうなのがなってるので、1つもらうか」と言って、大きな桃をもいでくれた。白桃だった。「ええんかな」と迷いながらも皮をむいた。その瞬間、美味そうな桃だと分かった(皮の状態で美味いか不味いか見当がつく)。かぶりついて、「美味い」とつぶやいてしまった。
冷えてはいないのだが(むしろ炎天下だし、桃の葉は少ないので、少し温みがあった)、人生の中で最高の桃だった。今でも、あの時ほど美味い桃に出会ったことはないと思っている。多分、喉の渇きが大きな効果をもたらしたのだろうが。
その時の桃と、母親の行動を思い出しながら、食べ終わって残された種を見た。
桃食べて 深き蜜知る 種一つ

2016/09/04


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