今日の日経「Money & Investment」にトンチン年金と公的年金の繰り下げ受給について解説があった。トンチン年金が人気だというのはニッセイの後輩から聞いていた。一方、公的年金の繰り下げ受給について、今日の記事を鵜呑みにしてはいけない。
トンチン年金を極論すると、最後に生き残った者が財産を全部もらう方式である。現実にはそうはならないように工夫されている。とはいえ、長く生きれば取り分が多くなることに変わりない。長生きリスクに適した保険だと言えるだろう。
注意事項として、老人になって生活するのに本当のところ、どれだけ必要なのかはしっかりと計算する必要がある。年がいくとともに、支出は食べることから介護や医療に移る。
次の公的年金の繰り下げ受給だが、遅らせれば支給額が増えるのは新聞に書かれていたとおりである。年率8.4%の増額である。運用で年率8.4%ものリターンが確実に得られる金融商品はないから、「すごいやん」と思えるかもしれない。
注意が必要なのは、新聞には明確に書いてなかったが、1年間受給を遅らせれば、当然のことながら、1年間を棒に振ることになる。だから、いつまで生きれば損得がなくなるか計算をしないといけない。これについては記事に(金利を考慮しないとした)計算結果がグラフで示されていた。大雑把に言って80歳前後である。「そこまで生きられれば」ということで、それまでに死んでしまうリスクを十分に考慮しなければならないわけだ。
もう1つ、これは新聞にまったく書かれていなかったが、公的年金制度が変わってしまうリスクである。民間の年金(たとえばトンチン型の年金)であれば、保険会社が潰れないかぎり、当初に契約した年金が支払われる。これに対して公的年金には、過去に遡って何回も給付を改悪してきた歴史がある。今後も改悪は十分に起こりうる。このことを念頭に、繰り下げ受給するかどうかを決断しないといけない。これは各人の判断である。
「ほな、アンタはどうしたんや」と問われるかもしれない。ブログで「年金生活者になった」と公言しているように、繰り下げ受給を選択しなかった。「払ってもらえるうちが花」「お金が余ったら自分で運用したらええやん」という決断だった。要するに公的年金を疑っていることになる。
2016/09/14