中国の留学生から白酒の水井坊(シュエジンファン)をもらった。飲み会で「中国の白酒が美味い」と言ったからだろう。前にも書いたが、白酒の値打ちは香りである。水井坊にも正しい香りがある。
水井坊もそうだし、前に書いた五粮液(ウーリャンエ)も、20年近く前、今は亡き福間氏と中国のホテルで飲んだ時には安かった(今は高い)。中国だから、偽物の可能性はあるのだが、旅行する度に値上がりしていくのをつぶさに見たから、最初、安かったのは間違いない。ついでに書くと、白酒はアルコール度数がウィスキーよりも高い。だから、そんな酒をグビグビ飲んでいたから、福間氏は若くして亡くなったのかなとも思っている。
白酒の思い出はそんなところか。
しかし、味にどのような思い出があろうとも、美味いものは美味いとしかいいようがない。アルコール度数や蒸留酒であることからすると日本の焼酎と似ている。とはいえ、香りは焼酎の比ではない。だからネットを見ていると、「もらったけど口に合わない」とのコメントがある。そんな批評をするのなら、すぐに僕に連絡してほしいものだと思う。送料をこちらでもっていいから、引き取りたいものだ。
いずれにしても、いつも書いているように、酒には個性が必要である。その個性を強烈に主張しているのが中国の白酒であり、イギリスのシングルモルト・ウィスキーであり、ワインだと思う。白酒でいうと、水井坊と五粮液では香りが明らかに異なる。
この点、残念ながら日本のアルコールは没個性の方に突っ走っている。この酒、何の酒と問われても、誰が正確に答えられるのか。それぞれは美味いのだが、個性のない分だけ、どれでも一緒であり、差別化できず、固定的なファンができないのではないか。
2016/09/29