今回、長老ヶ岳に登り、南西尾根を縦走して不思議だったのは、尾根にほとんど下草や灌木が生えていないことだった。その分歩きやすかったのだが、逆に踏み跡は不明瞭だった。
夏、下草があるとヘビが怖いし、下草にからまれる。8/30に書いた烏泊山がその典型である。その分だけ、登山者は前の者が歩いた登山道を忠実にたどるので(日本のインデックスファンドのようなもの)、後から歩く者として簡単に踏み跡を見つけられる。
この点、長老ヶ岳は異なっていた。思うに、シカが増え過ぎ、下草を食べ切ったのだろう。落葉樹の幹にも食べた痕があった。登山道にやたらと多かった「身体を擦りつけた痕」も、この推測に合う。これは奈良公園やその奥にある春日山と同じである(そう新聞で読んだだけで行ったことはないが)。
後から思うに、尾根だけではなく、その下の山腹にも草が生えていたようではない。だから、人里が近くなると、獣避けが仕掛けてあったのだろう。
かつてのことだが、シカを最初に山で見かけた時にはかわいかった。しかし、増えすぎると自然を大きく変えてしまう。ダニも多くなる。一方で、(僕も知らない)昔のようにオオカミはいない。アメリカを見習い、オオカミを輸入して放すか、人間がシカを食うしかないのだろう。
実を言うとシカの肉は美味い。就職難の時代、シカを捕まえ、料理して提供すれば、ブラックな会社に就職するよりはるかに良いと思うのだが。
写真は長老ヶ岳への登りである。雪の重みため、落葉樹の根元が曲がっている。下草はない。
2016/10/03