京都大学に知り合いのYGさんがやって来たので昼飯を一緒に食べた。大学のレストラン「しらん」である。「そんなん、しらん」とか駄洒落の世界に入りそうだが、それをぐっとこらえて倫理教育の話になった。
というのも、YGさんの専門は証券投資に関するリスクプレミアムであり、行動ファイナンスだと思っていたのに、思いがけなく「一橋大学で投資に関する倫理を講義する」とか言われたので、少し話が弾んだから。現在、投資というか金融の世界では倫理問題、利益相反問題は非常に重要な課題であり、それに悖ると会社が潰れかねないし、個人は業界から葬り去られる。今、アメリカの大手銀行、ウェルズ・ファーゴが大問題になっていることからも明らかだろう。
その話の中で、「これからは役所や政治家に対する倫理教育も必要」となった。東京都の豊洲問題は典型的である。誰も本来の役人としての自負を持っていなかったようだ。適当に形式的に、時間と会議をこなせば十分だった世界に住んでいる。
ついでに書くと東京オリンピックの施設問題も、上部に脳ミソがないから、あったとしても動物としての自分自身の本能を操る程度だったから、予算が膨張してしまった。極論すれば、利益誘導的、我田引水的である。予算を小さく見せて誘い入れ、フタを開けると「実は・・」というよくある手口だと思えてしまう。
いずれも行政能力以前の問題であり、使命感や倫理感の不足問題だろう。
政治家も同じである。より酷いかもしれない。これについては過去の歴史がいろいろと語ってくれる。その中で、今起きている問題は「白紙領収書」である。金額欄や宛先を自分で適当に書けば経費として処理され、自分の懐は痛まない。うまくやれば(ゼロ円の支払いを含め)支払った金額以上のものが白紙領収書をもらった本人の手に入ってしまう。ありえない話である。
それなのに、昨日の読売新聞によると、「高市総務相は25日の衆院総務委員会で、国会議員の政治資金パーティーに出席した際、金額が空欄の領収書を受け取り、自身の事務所で金額を記入したことがあると明らかにした」「白紙領収書問題を巡っては、読売新聞の調査で与野党幹部を含む23人が領収書の授受を認めている」「高市氏は・・法律(政治資金規正法)上、領収書の作成方法は規定されておらず、問題は生じないとの認識を示している」とある。
政治家にも脳ミソがないから、あったとしても動物としての自分自身の本能を操る程度だと思ってしまう。そもそも法律ありきではなく、法律を作るのが政治家である。高市早苗ちゃんは奈良県人だし、大学ノートではないがブログに早苗ちゃんと書いてしまい、僕としても恥ずかしい。同時に、東京オリンピックのトップも元政治家だったなと思い出した。
大学の教員なら、完全に失格である。立て替え払いで買い物をしたり講演の参加費を払ったりすると、それがたとえ100円であっても、現物、領収書を提出し、会計のチェックを受けないといけない。講演であれば、そのパンフレットが必要になる。白紙領収書を提出しようものなら、「幼稚園から出直せ」となるだろう。
今の政治家、脳ミソがないのか、不都合なことが多すぎるのか、我田引水的な行動が日常的なのか。それに誰もメスを入れられないのか、チェックのための組織がないのか、あったとしても機能していないのか、組織全体が同じ穴のムジナなのか。いずれにしても教育が必要なのだろう。幼稚園というか保育園というかベビーベッドからかな。
2016/10/26