読売新聞の日曜版には「皇室ダイアリー」というコーナーがある。昔、どこかの放送局(毎日)で「皇室アルバム」というのがあった(今でもあるらしい)。その新聞版なのだが、ふと目をやったところ、日本語に違和感を覚えた。
内容は先日亡くなったタイのプミポン国王との思い出仕立てとなっていた。「何これ」と思ったのは、「皇后さまも、国王が愛用のクラリネットで・・吹奏してくれたことを懐かしがられていた」との文章である。
読売新聞の社内規則では天皇や皇后の行動には尊敬語を使うことになっているのだろう。皇室関係の記事を読むことはほとんどないので、敬語の使用はどの範囲までか(たとえば皇太子はどうなのか)知らないし、他紙がどうしているのかも知らない。
違和感があったのは、他国の国王と日本の天皇家を区別して扱っていることである。きわめて変だし、タイ国に失礼である。天皇家に尊敬語を使っていけないとまでは言わないが、尊敬語を使うのであれば、他国の国王も同列に扱うべきではないか。それとも戦前の「神国、日本」に戻そうというのか。
この記事に違和感を覚えないとすれば、それは根っからの読売新聞ファンなのだろう。
これで思い出したのは、某社が社内誌で社長の行動に敬語を使っていたことである。「この会社、あかんで」と部下に言っておいた。その後、その会社は冴えない。
さらに言えば、北朝鮮の毎度の官営放送や、つい先日報じられていた中国の「核心」という呼称を思い出させる。
2016/10/30