昼食後の一時、くつろいでいると、携帯がけたたましく鳴ったので飛び上がった。もう少し静かな音にと思うのだが、その方法を調べるのが面倒である。で、電話の主はというと、沖縄は那覇の友人KHからだった。
何かと思ったところ、「沖縄に戻った」という。実は、友人の生まれは長野県の南木曽である。実家が残っていて、畑もあるので、そこに帰ると今年の春に聞いた。ところが、この夏に実験的に帰ったところ、大きな問題があったとか。
それは大きな病院が遠いことだそうだ。これまで、少し離れた町(坂下)に比較的大きな病院があったのに、中津川と合併した後、その今までの病院が診療所になる(なった?)とのことである。ちゃんとした病院がえらく遠くになってしまったわけだ。
誰しも70代前後になると、いろいろと病気が出てきて当然である。とりあえずの病気がなくても、リスクを考えないといけない。その時、近くに病院がほしい。病人が車を運転して病院に行くわけにはいかないから。
友人の例は、人口が少なくなり、病院の経営が行き詰まり、それがさらに人口の減少をもたらす、この循環の始まりのように思う。もしかして、循環がかなり進行しているのかもしれない。
いずれにせよ、友人はこの病院のことを理由に、「やはり那覇に残る」「大きな病院も歩いていける距離にあるし」とのことだった。故郷でのゆったりとした、いわば晴耕雨読の生活を諦めたことになる。
今、地方の市町村は存亡の危機にある。人口の減少と高齢化が最大の問題であり、バスや鉄道などの交通機関の問題も深刻である。そこまでは理解していたが、病院の問題は気がつきにくいながら、確かに大きなネックである。
人口減少が悪循環にならないよう、それが手遅れにならないうちに、国として抜本的な対策を打たないといけない。スローガンだけで行動を渋っていたら、地方対策は遅々としたものとなり、悪循環の勢いに負けてしまうだろう。
2016/11/08