昨日、「株式の公表情報は正しいのか」との題で、「売り情報」には発言者の利益がからんでいると書いた。これは「買い情報」でも同じである。政府の情報にも、このブログの情報にも、故意か故意でないかはともかく、歪みがある。
僕としては客観的に、歪みがないように書こうとしている。しかし、無意識のうちに自分自身の立場に引き寄せられてしまう。株価が上がれば、やはりいろいろと資産形成上、有利だからである。
この例は、友人が雑談で発する言葉に代表される。某氏はこれまで、どんな時にも「大幅な下げは絶好の買いチャンス」と主張するのが常だったのに、今では逆に「上げは異常、売りポジションを作るチャンス」と主張している。実際、先物を売っている。現実の相場が大きく下げれば、その売りポジションを解消して、「これで普通」と言うのだろう。もちろん、この判断が間違っているかどうかは不明である。ただし、従来の主張のパターンが大きく変わっているのだけは確かである。背景には、生活に何の苦労もなかったのか、生活防衛的な立場に陥ったのかによって、大きな差異が生じたように思える。
これ以上に、典型的に歪んだ「買い情報」はそこら中にある。
政府の株式市場に対する発言を最初に指摘しておきたい。政策運営上、株価上昇のような明るい情報が大いに望ましいからだろう。
新聞もまた、企業からの広告収入を得たいという立場上、積極的に「買い情報」を流す。証券会社は、企業に対する幹事証券の立場から、また株価が上がれば景気が盛り上がり、市場での取引が活発になるという立場から、積極的に「買い情報」を流す。
このように、自分自身の僅かなポジションにも影響を受けるのが現実の姿である。そうであるから、積極的にポジションを作った投資家が、その投資にプラスになる情報を積極的に流すのは至極当然である。というように、情報の背景を十二分に考えて行動しないと、大損を被るのが世の中の落ちだと言っておきたい。
2016/11/13