川北英隆のブログ

株式投資で何を信じればいいか

ここ2日間、世の中はポジショントークだらけだと書いた。政府も、新聞も、もちろんその手の雑誌も、証券会社も、そして「大儲けした」「大儲けできる」という出版物もそうである。
政府、新聞、雑誌、証券会社は、株式を実際に保有しているという意味での狭義のポジションはないかもしれない。でも、これらの組織は、株価が上がることで利益が得られる。下がれば逆風である。だから、広い意味で株式に関するポジションがある。このため、「上がる」方向にコメントが偏ってしまう。このように説明した。
では、誰それ評論家の書く出版物はどうなのか。この点もどこかで書いたのだが、本当に儲かるのであれば、彼ら/彼女らに物を書く暇やインセンティブがあるとは思えない。そもそも、物を書いて儲けるなんてたかが知れている。
たとえば、1000円の本が大ベストセラーになって10万部売れたところで(10万部売るのはきわめて大変なのだが)、売上高は1億円、印税はその10%だから1000万円である。というか、1000万円でしかない。「株式投資で大儲けした」と表現できるには、少なくとももう1桁多くないといけないから、この印税では「がっかり」である。
このように収入を計算すれば、「大儲け本」も眉唾ものとしか思えない。僕自身、「大儲け本」の意図は、知名度を得たいがためだとしか思っていない。
それでは、株式投資でどのようにして儲ければいいのか。
中長期の投資でコンスタントに儲けるには、結論は自分で考えるしかない。もちろん、証券会社や雑誌のコメントを参考にしてもいい。でも、これらのメディアの株式欄は短期的なことしか書いていない。
そこで、これらの記事からエッセンスを抽出することが重要になる。後は自分自身の体験であり、経済や社会全体のトレンドを虚心坦懐に捉えることである。これにより、「こういう分野が今後の投資の着目点かな」と浮かんでくる。
次に、実際の企業をイメージしないといけない。その時、企業の風土や文化が問題になる。経済や社会全体のトレンドを、企業がうまく察知し、適切に反応し、実際の製品やサービスを開発しなければならない。ここまでできる企業は多くない。多くの企業が適切に行動できていたとするのなら、立派な企業がもっと多くていいはずだから。
以上、株式投資で大きく儲けるのは難しい。株式投資での儲けのため、そこまで真剣に考えている個人投資家は少ないだろう。
でも、いろんな製品やサービスを使ったところ、「ええ何これ」という企業は必ず1つや2つある(僕自身、最近、1つ見つけた)。その企業を徹底追求すればいいのではないだろうか。そうすれば、幸運に近づけるはずである。

2016/11/14


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