木乃婦は「きのぶ」と読む。よく見ると、店の布巾には婦に濁点が添えてある。その木乃婦に食べに行った。「新町仏光寺下ル岩戸山町」とくれば、祇園祭に山鉾を出す町である。
歩くと、大きな商家が多い。京都の繊維業が隆盛の頃、木乃婦は商家に対する仕出し、夜の宴会で栄えたのだろう。立派な構えの料理店である。大きな座敷あり、個室がいくつもあり、その雰囲気だけでも素晴らしい。
肝心の料理はといえば、満足だった。京都の料理にしては、味が少し強めであるが、ちゃんとした京都の和食の味がする(変な言い方だが)。
八寸に小さめのトロの寿司が登場した。季節のセコガニ(コッペガニ、松葉ガニのメス)も出た(甲羅に身を取り出してくれている)。椀はハマグリのしんじょ、出汁が美味かった。メインはフカヒレとごま豆腐の薫物だった。フカヒレが和食でも流行なのだろう、先日の菊乃井でも出てきた。カニの炊合せご飯にマナガツオの味噌漬けの焼いたのが添えられていて、気が利いていた。量もちゃんとあり、最後にはお腹が一杯になった。
2016/12/13