昨日、フェアディスクロージャー・ルールと早耳情報の関係を書いた。ところで、早耳情報はありがたいものである。びっくりするように情報(つまりインサイダー情報)でなかったとしても、ほぼ確実に小銭を稼げる。
そんな早耳情報に頼っていては堕落すること請け合いである。大学生がカンニングで試験に望むようなもの、肝心の学問が少しも身につかず、卒業してから苦労するだろう。
思うに、今のアナリストのレベルがどの程度のものなのか。現在、あまり株式に関するアナリストレポートを読まないから判断できないものの、間接的に聞くところによると、一般に流布しているのはどうでもいいものが多いようだ。
と言いつつ、かつての経験なら、自信を持って喋ることができる。素晴らしいレポートがある一方、一瞬でゴミ箱行きのものも多かった。ゴミ箱に行くのは、やはり短いレポートが多く、結局のところ、早耳情報と大差ない。早耳があったのかどうかは不確かなものの、足元の業績動向と、株価に対する判断が書いてあるにすぎない。それを読むと(一瞥するとかな)、「もうちょっとちゃんと書いたれや」と思ったものである。
理想は、きちんとしたレポートを書けるだけの力を身につけることだろう。それがあってこそ、訴える力のある短いレポートも書ける。
そういえば、大学のゼミで(このゼミも今年度で閉じるが)、「レポートを書いてきて」と言うと、「何ページくらいですか」と質問されることが多い。これに対しては不親切に、「必要最小限でええで」と答えている。「自分で必要な枚数を考えろや」という主旨だが、レポートというか筋道だった文章を書いたことのない者に対して不親切すぎたかなと、今さら遅いながら反省している。
まずは十分な知識があり、それに基づいて他人に伝わる文章を書けるかどうかである。それを、聞きかじっただけの数値だけ、早耳情報だけで終わらせようなんて、そんな了見ではいつまで経っても素人に留まっているだろう。たとえ成長したとしても、剽窃の達人に近づくのが落ちかもしれない。
2016/12/15