1/26の日経夕刊(3面)に「ESG投信 個人向けに」という記事があった。グッドバンカーという投資助言会社の調査に基づき、キャピタルアセットマネジメントという独立系の会社が投資信託を運用する。
ESGとは、環境(Environment)、社会(Social)、ガバナンス(Governance)の3つを合わせた略称である。
要するに、社会に対していいことをし(たとえば、環境重視の経営や、女性の働きやすい職場環境作りなどを実行し)、企業組織もしっかりしている企業の株式に投資をすれば、相対的に高いリターンが得られるのではないかという発想である。世界的に静かなブームになっている。トランプ大統領の登場により、EとSには逆風が吹きかねないが。
これは一種のコマーシャルだが、ESGを各企業がどの程度重視し、ちゃんと経営しているのかはグッドバンカーが調査している。このグッドバンカーは環境調査で定評がある。
コマーシャルだというのは、僕自身、グッドバンカーの社長(このブログでも何回か登場した筑紫社長)に頼まれ、2004年からだったと思うが、調査に協力している。アナリストが調査し、その結果に基づいて各企業のEとSへの取り組みに対して格付けを付与するわけだが、その付与された格付けが妥当かどうか、委員会で議論している。Gに関しては委員会で議論していないが(間接的に議論しているためか、議論の要請がないが)、これはEやSほど評価が分かれないことと、EやSの議論と共通する点が多いからだろう。
実際のところ、EとSの評価に基づいて運用すればどのような結果に成るのか分析したことがある。分析結果は、相対的に高いリターが得られるというものだった。たとえば、『総合分析 株式の長期投資』(2010中央経済社)に最初の分析結果が報告されている。その後の追加分析でも同様だった。
もっとも、ESGの効果はさほど大きくない。とくに短期の投資では表れにくい。長期投資向きだろう。このため、財務データと上手く組み合わせることも重要である。後者に関して、グッドバンカーは特許の申請をしている。
27日から運用開始、来月にはネット証券でも販売と聞いている。関心があれば、キャピタルアセットマネジメントのホームページにアクセスしてもらうのがいい。トップページに出ている。
2017/01/28