昨日、今日と、製造業をアメリカに呼び戻そうとしているトランプの政策を何人かで議論した。いろんな製品をアメリカで生産しようとする政策は時代錯誤ではないか、これが結論だった。
トランプは爺さんである。彼の頭の中には、かつてアメリカの製造業が世界を制覇したイメージが残されているのだろう。そんなアメリカの繁栄をもう一度呼び戻したいというのが、トランプの願いであり、選挙期間中の公約だったと考えていい。
とはいえ、アメリカの高い人件費をもってすれば、世界に対する競争力が得られない。競争力を得ようとするのなら、工場を徹底的に自動化することが必要である。しかし、自動化を図れば図るほど、人手が不要になる。つまり、トランプが公約した雇用の創出は実現しない。
また、現在のアメリカの強みはITである。このITの競争力は、外国からの優秀な人材に多くを依存している。現在のアメリカ人だけではアメリカのIT産業の競争力は得られない。
さらには、サービス産業は移民という安い労働力に依存している。移民を制限すればアメリカ人に雇用が回ってくるだろう。そうだからといって、白人は現時点で移民がやっているような労働をするのだろうか。タイでさえ、日本で言う3Kの仕事はミャンマー人にやらせている。所得水準が少し上がれば、3Kの仕事をやりたいとは思わないのが現実である。
以上から、トランプの夢は現実離れしている。現実を知らない夢想と言ってもいい。このため、いつかどこかで夢が破れるだろう。トランプを支持した下層の白人も失望するに違いない。結果として、2年後の中間選挙までトランプが持つかどうか。アメリカの政治が混乱する可能性も視野に入れておく必要がある。
2017/01/26