昨日、ESG(環境・社会・ガバナンス)調査の多くが情けないと書いた。そこで、ESG調査の老舗(1998年設立、日本初の環境投資ファンド・エコファンドの助言会社)、グッドバンカーの調査方法を簡単に紹介しておく。悪貨に良貨が駆逐されないためである。
グッドバンカーは金融商品取引法上の「投資助言・代理業」の登録業者である。金融庁のホームページで確認されたい。
調査対象企業(ユニバース)は調査を依頼するアセットマネジメント会社とグッドバンカーが協議して決めている。グッドバンカーが調査対象企業を提案することもある。
企業の調査について、基本部分はアナリストが担当する。社長、管理者が共同で調査することもある。社長や管理者の人脈が活きる。
グッドバンカーの特徴として、アナリストには女性が多い。社長が女性だからでもあろう。男性を採用しないこともないが、平均的に女性の能力の方が高いということだと思っている。もっとも、女性の場合、家庭の事情で通勤できないことや、地方に転居することも多い。その対策として、在宅勤務制度も採用している。要するに、雇用形態に関して最先端を走っている。
調査の方法は他の調査会社と同様、アンケートがベースとなる。アンケート項目は少しずつバージョンアップしている。
そのアンケート結果に加え、公開・公表情報、企業への訪問、電話、ときには同業他社との意見交換(もちろん守秘義務などを遵守)、その他の方法に基づき、E、S、Gの点数を付与する。
その点数の妥当性に関して、格付評価委員会を定期的に開き、識者(多くがリタイア組)の意見を聞いている。委員会にはアナリストも当然参加する。遠方のアナリストはテレビ会議で参加する。
その意見によって点数が変化することもある。企業を訪問して確認した方がいいとのアドバイスも出てくる。また、アンケートの項目、採点基準など、調査の枠組みが議論されることも多い。
識者には、技術者、アナリスト経験者、投資経験者、許認可業務経験者などがいる。いずれもグッドバンカーの心意気に賛同した応援団である。
一言で表現すれば、グッドバンカーの調査と採点は手作りである。アートと言っていいだろう。ESG調査が単純なものでないからである。通常のアナリスト調査もそうだが、表面的な数値や○×だけで判断できないことが多い。
グッドバンカーが提供する調査結果については過去数回、大学の教員に分析を依頼してきた。結論は、「有効」である。
以上である。冒頭に書いたように、粗雑な調査というか、なんちゃってESG調査というか、そんな悪貨に駆逐されないよう、グッドバンカーにはこれからも頑張ってもらいたいと思っている。
2017/03/22