川北英隆のブログ

自国偏重投資は愛国か

最近考えているテーマの1つにホームカントリーバイアスがある。ホームカントリーバイアスを訳すと、自国偏重投資とでもなろう。この最適な事例が公的年金による株式投資である。日本と日本以外の株式投資比率が1対1となっている。
かつては日本の割合がもっと高かったから、これでもホームカントリーバイアスがかなり修正された。しかし、世界の株式市場に占める日本の割合は10%に満たない。しかも、リーマンショック以降、この10年間の値上がり率が冴えない。そんな中、ホームカントリーバイアスに意味があるのか。
意味があるとすれば、単なる愛国心だろう。日本企業を応援したい、だから買う、買わない奴は非国民という論調である。為替リスクという理由を指摘する投資家もいるだろうが、いつか書いたように、株式投資の為替リスクは理由にならない。
愛国心だと反論されて、すぐに思い浮かぶのが、獅子がわが子を千仭の谷に突き落とし、強く育てるという話であり、かわいい子には旅をさせよという諺らしきものである。ちやほや育てたのでは碌なものにならない。かえって穀潰しになってしまう。
残念ながら、日本の大企業はアメリカと比べて極めて見劣りがする。最近のしてきた日立でさえ、GEと比べるとどうなのかと言われている。この現実の背景にあるのが、1つには投資家が、そして政府が日本の大企業を甘やかしたことではないのか。そう思えてならない。
いずれにせよ、プロと自任する投資家なら、客観的にグローバルな視点で企業を評価すべきである。その上で、日本企業に芽があるのなら、それは投資してもいい。そうでなければ、誰が何を言おうとも、堂々と日本の大企業を外すべきである。この投資行動が将来の日本企業を強くする。

2017/03/29


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