新聞を読んでいたら「こども保険」という活字が目に飛び込んできた。生命保険会社の商品のことかと思いきや、教育無償化のための財源の構想である。「教育国債」という案の対抗馬らしい。
記事を読むと、「こども保険」と「教育国債」は、その目的や支出先が少し異なるようなのだが、いずれにしても、教育無償化の財源として、保険料なのか、国の債務としての国債発行なのかという論争に発展しそうな雰囲気である。
国債は税金が不足するのを補うために発行される。いずれ将来の税金で返済しなければならない。これに対して保険はあくまでも保険である。国民が互いに助け合うため、掛け金を拠出する制度だから、税金よりも保険のほうが納得を得やすいということだろう。
ここで注意しなければならないのは、公的年金も保険と位置づけられ、年金保険(国民年金保険、厚生年金保険)と呼ばれている。とはいえ、保険会社の積立型の保険と異なる。公的年金は保険料として支払った分が将来自分に支払われるようには設計されていない。金持ちと貧乏人の、老後の収入を調整する手段として基本部分が設計されている。所得再配分機能である。この意味で、一種の税金とみなすことが可能である。
「こども保険」も公的年金と同じである。案では、社会保険料(公的年金と健康保険の保険料)に上乗せして徴収するらしいから、子供のいない者、子供が成長してしまった者からも「こども保険」の保険料を徴収することになる。明らかに体のいい税金である。
国として、保険料だから徴収してもいいんだという考え方をいい加減止めてもらわないと、いい加減国民は怒るかも。もしくはいい加減怒ったほうがいいのかも。
2017/03/31