川北英隆のブログ

株主優待狙いの枝葉末節

以前にも書いたと思うのだが、株主優待を目的に株式を買うなんて、変そのものである。優待なんて、大した金額ではない。それに、金券なら別だが、会社の製品やサービスが好きだとはかぎらない。
この点、今日の日経朝刊の1面トップ記事は笑えた。株主優待の権利を得るため、信用取引の空売りまで活用するとは。「もうちょっと有意義なことに知恵を使えや」と思った。同時に、「こんな記事をトップに載せるなや」と新聞社向けに思った。
僕自身、時々ブログに登場させているように、株主優待を送ってくれる投資先企業がある。それを狙って投資したわけでなく、相続に際して引き継いだだけである。「まあ、ええか」と思いつつ、今では非常勤のアルバイト業務(アルバイトと言えば怒られるが)のため「売れへん」ということで保有している。
その優待の金額、大したことがない。それよりも「どうせなら配当でくれろや」と思う。企業としては個人投資家のファンを作るためだろうが、子供だまし的なものは止めてほしい。
思い出すのは、その昔、電力会社が元気だった頃である。増資するからというので株主の気を引くため、いろんなものをくれた。今でも残っているのが、関西電力だったかがくれた、日本と世界の地図帳である。当時、感動したものだ。それと、これは東京電力だったか、大きな唐草模様の風呂敷をくれた。今、どうなったのか(東電ではなく、風呂敷のことである)。
「配当の方がええで」という程度の品物だろうが、当時の電力会社は、その配当まで規制されていた。電力料金に対して通産省(今の経産省)が経営に口出しし、配当も規制していたからである。このことを思い出す度に、「原発はどうしたのや」と問うてしまう。それに、今の経産省のROE重視の提案(何の権限があって企業経営に口出しするのかは不明なものの)と大違いでもある。
株式投資は配当(インカムゲイン)と値上がり益(キャピタルゲイン)狙いである。株主優待はグリコではないが、おまけでしかない。個人が投資する場合、株主優待という煙幕にごまかされず、正当に配当と値上がり益を狙い、投資先を選別すべきである。
そうそう、桐谷さんの株主優待は趣味だから、それを批判するつもりは毛頭ない。

2017/04/02


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