霊仙山には花が多かった。向かいの伊吹山がそうであるように、石灰岩の地形と豪雪地帯であることの合わせ技か。ミヤマサクラ、ミズキの白い花が稜線で咲いていた。
その林の中でハルゼミがジリジリと鳴いている。カッコーの声も久しぶりだった。
そんな中、珍しい花の群落があった。エビネ(ラン)の花である。地味な花ながら、久しぶりに見たので嬉しかった。かつて、丹沢の斜面を登っていると、1株だけ咲いているのを見たこともある。写真をアップしておきたい。
そんな豊かな自然なのだが、学生時代に登った記憶と非常に大きな差があった。それは、頂上部に背の低い草しか生えていないことだった。かつては一面の笹原だったはずだ。
20年以上前のガイドブックにも笹の記述がある。今は1本もない。よく見ると、笹の枯れた茎だけ残っている。
調べたところ、霊仙をはじめとする鈴鹿から笹が消滅しているらしい。シカの食害の可能性が大きいと書いてあった。おかげで登山道はわかりやすかった。片方で、原風景が残っていてほしいものだとも思っている。
2017/06/01