今日、不二製油(正確には不二製油グループ本社)の清水社長(代表取締役)の話を聞いた。不二製油を知らない人も多いだろう。とはいえ、昔から株式投資になじんでいれば、優良企業として名前を知っていたはずである。
1950年の創業、植物油の製油企業としては最後発らしい。だから、ユニークなことをしないかぎり、日清製油に代表される先発企業に勝てなかったらしい。確かに植物油という製品自身は単純、大量生産した者が勝ちである。
今まで知らなかったのが、不二製油の名前の由来である。元々、不二蚕糸という会社があり、「蚕糸の製造プロセスで副生する蚕蛹から油脂を絞る会社に始まり・・1950年に不二製油株式会社として、当時配給制だった食用油原料(大豆)の配給を十分に受けられない中、南方の原材料、ヤシ、パームに目をつけ油脂専業メーカーとして」発足したとのこと。
ヤシやパーム油の製造をしているとは知っていたが、会社時代の担当業種でなかったため、そんなに調べたことがなかった。
しかも、「これらの油脂を絞るのみならず、融点ごとに分別精製した油脂を得て食品材料として提供するなど」して、付加価値の高い製品を提供したとのことである。だから、利益率を高く保ててきたのである。以上の歴史については次に書かれている。
http://www.nims.go.jp/mmsp/achieve/data/05/
その不二製油が製油から脱却しようとしている。それが今日の話だった。大豆から油を絞るのではなく、油分よりも多く含まれている大豆のタンパク質を利用して、新たな食品にしようとの試みである。しかも、美味しくである。それも、地球の食料危機をも救うという発想だと聞かされると、すごく楽しい。
詳しくは、不二製油のホームページをみてほしい。また、今日の講義は来年の早い段階で出版する予定である。
今日、学生が「不二製油という社名が業態に似つかわしくないのでは」と質問した。これに対して清水社長は、「その通り」、「いずれ社名を変えようと考えている」と答えていた。蚕糸から製油に、そして次は何と、夢を感じる企業の変化である。日本企業のかなりの割合が、不二製油と同様の発想を持っていると未来は明るい、そう考えてしまった。
2017/07/13