川北英隆のブログ

山部の旅館と鉱山の町

芦別岳からの下りは往路を戻った。旧道も魅力的だが、2016年の台風で荒れているとの情報がある。それに人があまり入っていないから、それこそクマさんに出会う可能性が高い。
登山口からの登り3時間半、下り2時間半だった。少し鍛え方が足りないようで、計画していたよりも合計で1時間程度余計にかかった。旅行の荷物をすべて持ったせいもあろうかと、弁解しつつ。
登山口から山部まで、芦別岳を振り返りながら歩くこととした。
山部まではまっすぐな道である。収穫期を迎えた麦畑の向こうに芦別岳全体が見える。登った尾根もよくわかる。農家はサクランボを植えている。ちょうど食べ頃の赤い実がたわわに実っていた。7月に始まったというサクランボ狩りのついでにビールを飲めるようにしてあれば、サクランボをつまみに喉を潤しただろうと思う。そこまではなかった。
山部の駅まで30分少しだった。行きに歩いたとすれば、登りだからもう少しかかるだろう。タクシーを使うのがいいと思う。
駅前の通り(国道38号線)にコンビニがある。そこでビールを調達し、駅の日陰で飲んだ。実は予約していた旅館が目の前にあったのだが、西陽が当たって暑そうだった(実際、入ってみても暑かった)。外の風に吹かれていた方が心地良いと思った次第である。
旅館は「やまべ」という。風呂もトイレも共同だが、山登りには他に適当なのがないだろう。1ヶ月前に骨折した相棒が見つけていたので、僕は探していない。
旅館で早い夕飯を食べた。スープカレーだった。少し塩辛かったが、野菜いっぱいだった。これに赤い果肉のメロンが付いていた。食べていると、家のお婆さんが話しかけてきた。
山部はかつて鉱山の町として栄えたそうだ。鉱山とは石綿(その原石の蛇紋岩)である。夕張岳は蛇紋岩の塊のような山だから、その続きのようだ。1969年に閉山とある。当時の山部は商店街が並んでいたのに、今は多くが廃業したとのこと。確かにシャッターを閉めたままの店が多かった。
お婆さんには昔が良かったのだろうが、「やまべ」は流行っていた。40代の女性が切り盛りしている。国道を旅してきた旅行者や商売人が使っていた。
今の山部はサクランボ、メロンで有名なようだ。アスパラも多く見かけた。泊まった日の夜は町の祭りだった。抽選会の景品としてメロンがあった(大音響なので聞こえていた)。
写真は芦別岳からのもの。中央付近から左へと広がっている丸い山が雲峰山、中央の少し右奥の平らな山が半面山、上部に茶色く広がるのが山部などの盆地である。その盆地のさらに上部に深い緑の丘陵地帯が見え、雲峰山の上付近が斑模様的に茶色くなっている。この斑模様が鉱山跡である。
芦別からの野沢鉱山.JPG

2017/07/22


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