川北英隆のブログ

吹越烏帽子に蝶が飛び

吹越烏帽子、わずか500メートルばかりの山である。その山頂にお花畑が広がっていた。ウドの類の白い花の間に、アヤメの濃い紫の花、ナデシコのピンクが散りばめられている。その花をめがけるでもなく、キアゲハが飛び、しばらく休んでは蜜を吸い、再び飛ぶ。
写真は吹越烏帽子山頂付近のアヤメと、それに止まるキアゲハである。
蝶も蜻蛉も飛ぶこの地では
胡蝶の夢は薄色のキアゲハだったのか
邯鄲の夢は蜜の味だったのか
夢は薄い霧のベールで幾重にも包まれ
風が思い出したように吹く
旅人の時々の喜びが一重ずつ剥がされていく
でも薄い霧がまた一枚と空から降りてくる
ここには韃靼海峡はない
ベーリング海峡もない
薄っぺらい蝶をツキノワグマが咥えるわけでもない
紫や白や薄紅の花だけが蝶に小さな止まり木を与える
風の向こうに小さな川が音だけで流れ
彼岸との境が垣間見えたように、また蝶が飛ぶ
アヤメとキアゲハ.JPG

2017/07/26


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