南のキャンプ場からベンボウの火口が近い。ガイドの話では往復3時間程度。ベンボウの火口壁まで1時間、火口の溶岩湖を見るため、火口壁を越してさらに歩くらしい。
「らしい」というのは、当日の天気が悪かった。登っても火口にはガスがかかっていて何も見えないというので、ガイドは行きたくなかったようだ。「頂上に登るだけでいい」と説得し、とりあえず近くまで行くことにした。
南のキャンプ地からどう行くのか(小屋を中心に何本か踏み跡がある)。意外にも、キャンプ地までの登山道をほんの少し戻り、右手(登ってくるときには左手)にある高さ5メートル程度に積み重なった黒い火山灰(細かな火山性の砂)の丘を越えた。
と、目の前に広大なカルデラが広がっていた。通常のイメージではカルデラは大きく凹んでいるのだが、アンブリムの場合はほとんど平らで、一面に火山性の砂が降り積もっている。コケと背の低いイネ科の植物が所々に生えていて、それが遠目では黄緑の飾りに見える。水の流れた跡もある。
奥にはベンボウからマルムに続く火口丘がある(残念ながら、頂上は見えなかった)。写真はベンボウに近づいてからのもの。手前がカルデラ部分、奥が火口壁の山である。緑色の植生が点在している。
火口丘の山腹は雨で削られ荒々しい谷になっている。削り残されたエッジ状の尾根を慎重にたどり、火口壁に到着する。
雲が晴れなかったため、火口壁の南側の最高地点(1000メートル付近)まで登り、引き返した。火口の溶岩湖を見ることはできなかった。またの機会である。
2017/08/25