川北英隆のブログ

ふるさと納税考

ふるさと納税のお礼の金額が大きすぎると批判されている。地方自治を管轄する総務省は、お礼の上限を30%にするよう、地方に通知した。これとともに、ふるさと納税に関する議論も起きている。
地方を旅行すると、その衰退ぶりを見て陰鬱になる。今年7月、下北の吹越烏帽子から下りて駅に向かう途中、道路で作業していたお婆さんに道を確認した。人っ子一人いないような山村で出会ったお婆さんだ。「山に登ってきたの」と尋ねられ、「そう」と答えた。そのお婆さんの印象がずっと残っている。
僕たちは仕方なしに都会に住んでいるのだと思う。僕自身、実際のところ、東京での生活は極楽でなかった(カミさんの意見は別かもしれない)。便利だとは思うが、それ以上のものがない。京都に転居したものの、やはり都会である。東京より多少楽しいが。
理想は地方に住み、自然を楽しみ、それでいて便利に暮らすことだろう。子供の教育にも、それが有意義なはずだ。今はネットの発達があるから、そのうち地方での生活が便利になってくるだろうと期待している。
企業も(仕事場も)地方に回帰してくるに違いない。現実は、8時間前後働くために往復2時間も3時間もかけて都心の職場に出向いている。きわめて無駄である。生産性の向上、労働参加率の向上のためには、もっと地方に、経済活動と生活の重心を移さなければならない。
理想の地方中心の時代が実現するまで、今の地方に生き残ってもらわなければならない。ふるさと納税制度がそのためにあると考えれば、大都市から地方に納税額が移転することに大いなる意味を見出せる。
角度を変えて考えれば、ふるさと納税で一般的な工業製品や、それに類するものがお礼として返されることは忌避されるべきだ。いくらお礼の率が高くても、そんなものを選んではいけない。念のために言えば、工業製品の工場が、その地方にあるのなら別である。
腹を減らしたトラかネコのように、今日は魚を目当てにふるさと納税をしたが、本音は以上である。「ホンマかいな」だろうが。

2017/08/26


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