知人の紹介でアメリカの弁護士(クリストファー・スチュ―ドベーカー、略してクリスさん)と晩飯を食べながら話した。日本語がペラペラということもあり、会ってみた。聞くと、証券投資に関する訴訟が専門で、アメリカの中で上位5%に入る弁護士だという。
母親が日本人(苗字が上妻さんとか)、奥さんも日本人とか。日本語の勉強をしたいというので、ジョージタウン大学を卒業の後、早稲田の修士課程を修了している。学生時代に米沢市にも住んだことがあるとか。その後、アメリカで弁護士資格を取得している。まだ40歳代の青年である。
確かに日本語はペラペラで、外人特有の訛りもなかった。後で紹介するように、日本語できちんとした文章も書けるそうだ。
彼の関心事項は日本の投資家が証券投資に関する訴訟にどの程度、真剣に取り組んでいるのか(今後取り組むのか)だった。アメリカの場合、投資家側に立つ弁護士と、投資家の取引相手側(証券発行企業や証券会社など)に立つ弁護士とに分かれていると語っていた。時には投資家、時には証券会社と立場がころころ変わると、利益相反が起きるのでと語っていた。
日本ではスチュワードシップ・コードが制定され、プロの投資家は、資産運用を委託した個人や年金の利益を守ることへの意識を高めている。このため、今後は証券投資に関する訴訟の増大が予想される。実際、東芝の事件では訴訟がいくつも起きている。神戸製鋼所に対しても訴訟が起きて何の不思議もない。
投資がグローバル化していることから、日本の投資家がアメリカの企業や証券会社を訴える事例も増えてくるだろう。「日本語のできるアメリカ弁護士へのニーズも増えるのでは」と話しておいた。
彼の日本語の文章が週刊金融財政事情(2013年6月3日号)に掲載されている。「サブプライム関連訴訟の現状と日本への示唆」である。あすかアセットの光定氏との共著であるが、主要部分はクリスさんが日本語で書いたとか。
そんな彼がアメリカ人だなと思うのは、「焼酎は好きだが、麦が好きで、芋が嫌い」、「山形の食べ物はABCが有名(アップル、ビーフ、カープもしくはチェリー)だが、カープ(鯉)は美味くない」、「数の子は食べるが、食感が好きになれない」との話だった。後の2つは分かるような気がしたものの、焼酎の好みだけは僕にとって謎である。
2017/10/27