川北英隆のブログ

企業の顧問が与える影響

日本企業の顧問(もしくは相談役)の制度が問題になっている。役に立つのかどうか。結論は、グローバル化し、変化の早い時代には無益どころか、弊害だろう。
ここ数日、複数の原稿を書きながら、顧問が役立った時代には、年の功というものがあったからだろうと考えた。日本のように(韓国ほどではないにしろ)、儒教的思考が影響している国では、人間の価値を計る尺度として年齢が重要な要素となる。若造ではダメで、年寄りであることに意味がある。
だから、対外的に重要な用件になればなるだけ、顧問の出る幕が多くなる。経済団体が象徴的だろう。
とくに、高度成長期の日本経済が模倣文化だとすれば、いろんな接点を通じて相手側から情報を引き出さないといけなかった。その点から、年寄りが重宝される国では年寄りを使うことになった。顧問の出番というわけだ。
では、現在はどうなのか。模倣すべき相手が少ない。変化も激しいから、模倣している間に周回遅れとなってしまう。年寄りの文化はすぐにすたれてしまう。だから、顧問の役立つ場面が減っている。
しかも、顧問がいる企業では、社長が何かを決定しようとすれば、顧問に事前に相談し、根回ししないといけない。普段から仲良くしておかなければ根回しも困難になる。だから、社内政治に相当の時間を割かなければならない。この結果、社長として現場と接し、市場を見渡して新しい潮流を探る時間が乏しくなってしまう。
社内不正が蔓延しているように見えるのは、社長が社内政治に多くの時間を割いているからではないのか。
企業の善し悪しを図るには、顧問制度があるのかどうか、あったとして顧問が専用の部屋を持っていて、常勤に近いのかどうか、これらの情報が重要な手がかりになる。是非とも投資家に開示してほしいものだ。

2017/10/29


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