日産とスバルが出荷前の検査を無資格者にやらせていたとして、新聞で大騒ぎになっている。でも、この検査違反に対して、アメリカなどから批判の声が届いたとは報じられていない。海外に日本で生産された車が大量に輸出されているはずなのに、何か変である。
そもそも、「もぐり検査」によって欠陥が見逃されたため、事故が起きたとは報じられていない。改めに検査したら、欠陥が見つかったわけでもない。要するに規則に従って検査しなかったことだけが大きく取り上げられている。
少しネットで調べると、日本のような制度は世界の主流ではない。アメリカにはないようだ。国内で生産した車に検査が義務づけられているのは国内販売用だけだとも。
思うに、過去のぼろっちい車の歴史があり、そんな腐った車を売ってはいけないというので、国土交通省(そもそもは運輸省)によって義務づけられた制度が出発点にある。それが今も残っているようだ。
現実はというと、車は製造の主要なプロセスで機械装置によってコントロールされ、検査されているはずである。人の目で見るよりも正確だろう。僕自身、車ではないが某機器製造の工場見学で、現在の検査装置の素晴らしさを目の当たりにしている。
もっと言うと、この検査の本来の義務者は国である。それをメーカーに押しつけてやらせている。このお任せ方式は、サラリーマンの税金の源泉徴収事務と同じだと思える。国の代わりに企業が事務を行っているのに、少しミスると国からギャンギャン言われる。「力関係によって偉そうにしている」に過ぎない。
こんな枝葉末節と思える事件で、日本車に対する海外からの信頼を失ったらどうするのか。今の政府全体の、ある意味で現代版「富国」政策と反してしまうのではないのか。国土交通省にかぎらない。時代にそぐわない許認可事項がないのかどうか。あったとして、どのように変えればいいのか。もっと真面目に考えてほしいものだ。
メディアもまた、「何か変だ」と気づき、調べるべきである。
2017/11/02