川北英隆のブログ

クジラを食べる

僕らが子供の頃、クジラの肉すなわち鯨肉はウシやブタの代用食品だった。クジラのベーコンや脂身(コロ)も食料として重要だった。それがいつ頃だったか、食卓から消えた。
鯨カツもあった。給食にも出てきたと思う。それを最後に食べたのは、以前にブログで書いたように思うが、大学3年生の時である。日本海を走る夜行急行で青森に着いたのが夕方。青函連絡船に乗る前、夕食として食べたのが鯨カツの入ったカレー、カツカレーだった。不味い給食の記憶があり、一瞬戸惑ったが、空腹には勝てない。だが、実際のところ、食べると美味かった。それ以来、カツカレーのファンである。
数年前、ノルウェーやアイスランドに旅行したとき、両国が捕鯨国だと知り、鯨肉を探した。アイスランドでは、ステーキが比較的リーズナブルな値段で食べられたように覚えている。ノルウェーでは高かったことと、トナカイのステーキとの選択になり、「ここでしか食べられないのはトナカイ」というので、クジラを諦めた。
日本のクジラで覚えているのは長崎空港の店である。知人に勧められ、ちょい飲みの感覚で入った。刺身が美味かった。子供の頃の、クジラの肉は煮炊き物という感覚から大きくずれていて、感動した。
そんな中、つい最近なのだが、近くの地元百貨店で鯨肉が売られた。それをつい見逃してしまい、悔しかった。「せや、ふるさと納税や」というので探した。いくつかあり、最終的に和歌山の太地町に寄附した。1万円だった。
2週間くらいかかっただろうか、送られてきた。赤身と、皮つまり脂肪である(写真)。北太平洋のミンククジラとあった。両方を一緒に食べるのが通らしい。
今日は赤身だけ、試しに食べてみた。非常にあっさりしている。
クジラの食文化に非難がある。僕自身、コンゴで売られていたサルを食べようとは思わない(非常に躊躇する)。クジラは子供の頃から食べていたこともあり、西洋人が食べるウサギやシカと何が違うのか区別できないので、食べることにしている。
実は殺生に関して、蜘蛛には仏のように振る舞っている。何百匹と助けたと思う。芥川の蜘蛛の糸の影響かもしれないが。いずれにしても文化の差が食生活に反映する。美味いものは美味いとしか思えない。
太地クジラ.JPG

2017/12/08


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