川北英隆のブログ

京都府立医大の永守記念施設

時々、京都府立医大の前を通る。河原町通に面していて、バスのメインのルートだから。先日通ったら、医大の北側に新しい建物が建っていた。前から、何かの建物の建設が始まっていて、気になっていたのだが。
事実を確認しておくと、11月25日に完成したとある。
http://www.sankei.com/west/news/171126/wst1711260020-n1.html
薄い緑色の建物である。周囲とは色彩が少し異なっている。秋だから余計に目立つのかもしれない。建物のガラスも淡く緑である。
建物の上部に名前が書いてあった。「永守記念最先端がん治療研究センター」とある。数秒考え、「ああ、日本電産の永守さんが寄附したのや」と認識した。
だから緑で統一したと言える。『京都企業が世界を変える―企業価値創造と株式投資』に収録した永守さんの京大での講義でも語られているように、彼のシンボルカラーは緑である。緑の育つ南が好きだとか。
それでふと疑問に思ったのは、建っているのが府立医大の北側だということ。空いている土地がそこしかなかったのだろう。とはいえ、府立医大のメインの建物とは距離があり、南から十分に日が差す。永守さんの許容範囲だったのだと思う。
京都の医学部は比較的恵まれている。オーナー系で成功した企業が何社もあるため、創業者が大学に寄附をする。オーナーが老後を考えると、大口の寄付先が医学部となるのだろう。京都大学にも、稲森さん(京セラ)と山内さん(任天堂)の寄附による建物がある。
残念ながら、既存のというか、伝統あるサラリーマン経営者の大企業からの寄附はきわめて限定されている。この点、京都にはオーナー系の企業が多く、おかげで京都の大学は比較的恵まれている。とはいえ、再度残念なことに、京都の大学であっても文系にはなかなか厳しいものがあるのも確かである。
大学がどのようにして世界的な水準を維持していくのか。国立、国立以外の公立、私立、それぞれが予算に関して極めて厳しい状況にある。その割に、監督官庁と大学内部は真剣な動きがないような。ひょっとして日本の大学として残るのは医学系と、その周辺だけかも知れないと思ってしまう。

2017/12/16


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