21日、スチュワードシップ・コードとコーポレートガバナンス・コードのフォローアップ会議があった。当日、議論のメインテーマではなかったが、株主総会での議決権行使結果を個別企業ごとに開示していない大手生命保険某社に対し、Tメンバーが噛みついた。
開示しない理由が的を射ていないという理由である。その某社の名前をはっきりさせて(開示している生命保険会社の名前が当日の資料に別表として示されているため、図星でわかるのだが)、契約者が個別開示した保険会社と開示していない保険会社のどちらを選ぶのかを試したいとも発言した。いずれ議事録が公開されるから、詳しくはそれを見てほしい。
僕の意見は、議決権行使の個別開示に諸手を挙げて賛成しているわけでない。というか、議決権行使至上主義の立場にないから、このTメンバーの意見に対しては「ある程度開示していたら、それでいいのでは」と、本音ベースでは思っている。
その前に議決権行使のガイドラインを定めることが必要であるし、さらに前に投資家としていわゆる対話する企業をどのように選定するのか、そもそも投資する企業の選定をどのように行っているのか、これらのプロセスの考え方を開示する方がよほど建設的だと思っている。
それはともあれ、金融庁と某社とのしこりは大きいように感じた。某社の最高実力者が、ある意味意地になって金融庁と言い合っているのだろうか。
金融庁が常に正しいとは思わないが、かといって喧嘩して碌なことがない。正論をはく(はいたつもりになる)のはいいとして、某社としては落としどころを考えるべきだろう。
たとえば、個別の開示をすればいい。その上で、「この個別開示に大きな意味はないと考えているので、わが社は追加的に次を開示する」として、投資プロセスの考え方を示し、そのプロセスの中での議決権行使の位置づけを明確にすればいいのではないのか。
少なくとも、某社が開示しない理由として、「当社が反対した企業の株式を売却するとの憶測から株価が下落しないか」と書いたのは稚拙だし、某社の影響力を過大視しているのではないか。そうではなく、反対票を投じられた企業はつまらない企業であることが多いと考えればどうだろうか。それで株価が下がれば、その企業の反省を促すいい材料となる。同時に某社の知名度も上がって目出度いことである。
ということで、Tメンバーでなくても噛みつきたくなるだろう。
2017/12/22