今日の日経新聞を読んでいたら、株価形成に関して、「イナゴ」の塔という単語が目に入った。「何のこっちゃ」と思って読むと、相も変わらない投資市場での殺戮像があった。
要するにネット上での情報に躍らされ、獲物にされる個人投資家であり、その投資家を食い物にするプレディター的肉食投資家である。
イナゴとは、アフリカなどで典型的に見られるように、大群で飛んで来て、草を食べ尽くすと大群で去って行く。サバクトビバッタと言う。それをイメージし、主に個人投資家だけで株価形成される優良でない小型株に、投資家が大量に群がり、去って行く姿をイナゴの塔というらしい。
株価チャートでは、急に株価が上がり、その後すぐに急落する姿が描ける。その急騰、急落を塔に見立てているようだ。
ネットでは怪しげな情報が流れるし、意図的に流される。「こんな株を何株買った」という情報さえ流れるらしい。ネットオークションを一段と酷くしたものだろう。
この世界にはカリスマと称される、もしくは自称している投資家がいるらしくて、その投資家がそんな情報を流す主犯らしい。
古典的には、有料会員向け、口コミ、セミナーなどで「上がりまっせ」情報を流し、皆が群がってきたら、事前に買っておいた株式を売り逃げる方法がある。法的には、相場操縦や風説の流布に近く、お縄物である。この古典の世界にも、カリスマと賞される者がいたし、お縄になった者もいた。最後はろくなことにならなかったと思う。
そんな群がる投資をやったことがないし、ましてや誰かの情報にほいほいと乗って投資したことがない。というのも、そんな情報を流すのは、その企業の関係者でないかぎり、株価を上げて儲けたいからでしかないので。
もちろん、他の投資家にも儲けさせたいとの善意の情報もあるだろうが、投資家なら誰でもいいから儲けさせたいなんて発想を誰が持つのだろうか。そんな奇特めいた発想があるとすれば、名誉欲が強い場合だろう。この場合も、自分本位の考えが貫かれている。つまり、赤の他人のためでは決してない。
そんな「カリスマ」情報に頼り、売買するのでは、儲からないだろうし、少しは儲かっていたとしても、どこかで大損するだけだろう。アホな投資家というか、投資家を撤退した方がいい者達だと思う。
最後にイナゴの塔というイメージだが、本物のイナゴは草を食べ尽くしたら逃げ去るのだが、個人投資家の場合は「カリスマ」の餌食になるだけ。この意味でイナゴの塔という用語は誤りに近い。むしろ、イナゴの墓標だろう。
2018/01/16