川北英隆のブログ

かかりつけ医は良いが限界も

政府はかかりつけ医制度を強化したいらしい。新年度予算においてかかりつけの加算を新設、初診時に800円を上乗せするとか。同時に、大病院に紹介状なしで行った場合、負担額がアップする。疑問は、本当にかかりつけ医制度が機能するのかどうかである。
京都市街は医者の数が多く、診療所がいくつもある。だから選択肢が多くて、医者の腕や親切さを見極め、かかりつり医を決めることは比較的容易である。実際、わが家にもかかりつけ医と決めた先がある。ちょっとした病気なら、すぐそこに行く。
でも、地方はどうなのか。以前に住んでいた三鷹とか国分寺は地方ではない。とはいえ、わが家が市の外れにあったこともあり、近くに診療所があまりなかった。たまたまあった診療所も、ヤブに近いか、ぼったくり寸前だったりした。
そんな医者をかかりつけにしようとは、誰も思わない。まず、そんなどうしようもない医者を何とかしてほしいと思う。医師免許の更新に条件をつけないといけないとも思ってしまう。
それはさておき、さらに地方は、農村部はどうなのか。条件は一層厳しいだろう。
もう1つ、わが家のかかりつけだが、普段は非常に親切だし、ちゃんと診てくれる。しかし、特殊な病気になれば、その判断をどこまで適切にしてくれるのか。これは実体験に基づく。
通常の風邪や食欲不振に近い状態の奥に、深刻な病気が潜んでいることだって多い。多くの診療所にとって、適切な判断は相当難しいだろう。つまり、すぐに(ある意味無責任に)手を引いて、「大病院に行ってくれ」というか、逆に責任感が強いために大病院での精密検査が遅れるか、どちらかに陥る可能性が高いのではないか。
かかりつけ医の制度は、単純に診療報酬体系を変えれば完了する問題ではない。医師の教育(かかりつけ医になるための専門教育)や医師免許制度を含め、もっと根本的な対応が求められる。厚労省と医師会の責任重大である。

2018/02/07


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