先日、某記者と話していたら、某新聞に「サラリーマンの税金は優遇されている」との記事があったとか。二人で「嘘やね」、「その記者、常識に欠けてるね」と、笑い転げざるをえなかった。
多分、税制変更に関して国税庁に取材に行き、給与所得控除の縮小方針について説明を受けたのだろう。
国税庁として、「サラリーマンの場合、収入としての給与から必要経費を引いた金額が給与所得になる。その必要経費は、給与収入に応じて自動的に計算され、実際に使ったかどうかに関係しない。だから、使わない者、使えないほど給与をもらっている者にとり、優遇されていることになる」、「だから、サラリーマンは税金面で優遇されていると結論していい」と、幼稚な記者を説き伏せたのだろう。
どのような説明だったのかはともかく、歴然たる事実は、サラリーマンが税金面で冷遇されていることである。今年1/19のブログにも少し書いたように、収入や所得の捕捉率がサラリーマン、自営業者、農水業、政治家、宗教法人でまったく異なる。
サラリーマンには裏帳簿なんてありえない。給与を支払う企業が税務署の手先となり、被雇用者の給与をきちんと捕捉し、税金を源泉徴収し、さらに厳密な被扶養者の把握と年末調整まで行うからである。
他の職業には裏帳簿が十分存在しうる。収入の一部を税務署に報告しないのである。宗教法人は制度上、税金が存在しない。寺社に払う入域料をなぜ拝観料と称するのか。寺社の門や鳥居をくぐることが観光ではなくて宗教的な行為に相当するのだと、税務署を納得させるためである。宗教的な行為に相当すれば、寺社の収入は課税対象にならない。クリスチャンやムスリムも、瞬間的に仏教や神道に帰依し、参拝する。
しかも経費面でもサラリーマンよりはるかに優位にある。これも以前に書いたように、いろんなものを「業務上必要だ」と主張し、さっ引き、所得を計算している。税務署から「こんなん経費と違う」と否認されることもありえるが、その時は「闘えばいい」。実際、いろんなものが経費として申告されているだろう。
サラリーマンの自衛策として、自営業者などと同じように必要経費を確定申告すればいいのだが、これには大きな壁があるらしい。たとえば、次のサイトが参考になる。
https://allabout.co.jp/gm/gc/415814/
最大のものは「給与等の支払者からの証明書を添付する」ことだろう。思うに、これは士農工商と同類の、サラリーマンに対する大いなる身分差別であり、嫌がらせである。
そこで、ダメ元で、経費だと思う支出を(たとえば、実家があるのに東京に転勤させられた場合の家賃など)、領収書だけを添えて確定申告すればどうだろうか。大挙して確定申告すれば、身分差別に反対するデモになる。税務所が辟易すれば、しめたものである。
某記者は「アメリカ人は確定申告を納税者の権利だと認識している」と語った。僕も他から同じ言葉を聞いたことがある。納税者の権利を骨抜きにされた日本のサラリーマンは、政治に対して怒らないといけない。今の政治は、納税者の権利の骨抜きや身分差別を問題にしないどころか、年間給与850万円を高収入者だと決めつけ、ますますサラリーマンを圧迫しようとしているのだから。
2018/02/10