最近、いくつかの事件が目についた。有名企業関連では積水ハウス、日本ペイント、UACJの3社だろうか。他にもあるかもしれないが、正直なところ関心が薄い。
記録のために書いておく。
積水ハウスの事件は、その取締役会が会長だった和田氏を「突如」解任した。積水ハウスは地面師(要するに詐欺師)に63億円をだまし取られた。そこで和田氏が、取締役会において社長の責任を追求、辞任させようとしたところ、その社長の逆襲に遭った事件である。
和田氏は20年間、積水ハウスの社長、会長として君臨してきた。京都大学での講義をお願いした時と、その少し前を含めて面識がある(2017年にダイヤモンド社から講義録を出版した)。やり手だったと思えるだけに、社内外に敵が多かったのだろう。
日本ペイントはシンガポールの提携会社、ウットラム社から社外役員5名を選任するように要求され、それを飲んだ。3月末の株主総会で決議される。そもそも日本ペイントとウットラム社とは1955年以来の関係である。2013年、日本ペイントはウットラム社から買収提案を受けており、その後にウットラム社に対する第三者割当増資を行った。
今回の議案により、日本ペイントの取締役10名のうち6名がウットラム社はもしくはその関係者となる。実質、ウットラムが日本ペイントを乗っ取ったのではないかとも評されている。
UACJは、古河電工傘下のアルミ加工会社(古河スカイ)と住友金属傘下のアルミ加工会社(住友軽金属)が合併して誕生した。アルミなんてあまり関心のない産業ながら、実は父親が住友軽金属の株式を保有していたことがある。住友金属がアルミ部門を住友軽金属として分離した時、住友金属の株主に住友軽金属の株式が割り当てられた(確かそうである)。それで住友軽金属の株主になったのだと思う。
そのUACJが4月1日付の会長、副会長、社長を含む役員人事を発表したのに対し、筆頭株主の古河電工が人事案の再考を求めている。
3つの事件は経営権を巡る事件であり、いわゆるお家騒動である。関係者だけで「良い」、「悪い」を主張しあったところで納得できる結論には到達しないだろう。一番良いのは社外の裁定だと思う。この点、社外取締役が中心となった指名委員会で議論することが望ましい。
もちろん、そうしたところで、では指名委員会の構成メンバーを、誰が、どのようにして選ぶのか、この問題が残される。とはいえ、厳密な意味で中立的な組織なんて考えられないことだから、とりあえずは指名委員会で仕方ないのではないか。
2018/03/04