「コーポレートガバナンス・コード改定案」、「投資家と企業の対話ガイドライン案」が公表された。この2つについて、フォローアップ会議では「99%異存ない」と発言した。もっとも、その前置きとして、「このような政府主導の文書は大きなおせっかいであり、本来は好きでない」と前置きし、「でも、日本企業や投資家の現状からして仕方ない」と述べた。
3/30に書いたように、特定の企業を除き、日本の平均的な企業収益の姿は冴えない。しかも、ガバナンスの欠如というか、経営の当たり前がなされず、不正や大失敗をやらかす(世間ではオブラートに包んで不祥事と呼ぶ事件を起こす)企業が多すぎる。
投資家もまた、「ESGだ」「フィンテックだ」「AIだ」と言われれば、全員がそっちに向って突進する。これらを本当に理解し、企業評価しているのかどうか怪しい。というのも、直前までESG、フィンテック、AIなんて一文字もなかったのではないか(一文字もというのは、麻生流の表現かな)。文字があったとしても、片隅にだろう。
だから、政府がおせっかいにもいろいろと言うのは、日本企業や投資家の身から出た錆と思えて仕方ない。くやしかったら、理不尽だと思ったら、現状に満足せず、もっともっと高みを目指すべきである。
これで思い出すのが、フォローアップ会議における経団連の意見である。会議には日本の大企業の社長経験者が2人、メンバーとしている。
そのうちの1人が、はっきりとは言わなかったが、経団連の意向を反映し、コーポレートガバナンス・コード改定案などに反対する意見を述べた。個人的にはどう思っているのかは定かでないし、所属する企業の状況からするとかなり異なった意見を持っているのではないかと思うが。
もう1人は欠席だったものの、コメントが寄せられていて、それを事務局が読み上げた。それによると、「(今回の案に)全面賛成」「経団連から骨抜き案が出るとの噂もあるが、骨抜きには全面的に反対」とのことだった。
以上の2人のコメントは、近々公開される議事録を読んで確認してもらいたい。
思うに、経団連加盟企業の目線の低さである。経団連加盟企業≒名門大企業だから、その目線の低さである。
3/30に書いたように、今回のコード改定案は当たり前のことしか言っていない。「女性の取締役を選ぶべき」のような、まだまだ難しい原則もある。この場合、コードはcomply or explain(従うか、従わないならその理由を説明する)ルールだから、従わない(従えない)理由を説明すればそれで済む。また、コード以外の正しいと思う経営方法があるのなら、堂々と情報開示して反論すればいい。
このような柔軟なルールに何故反対するのか、理由が理解できない。
「余程悪い慣習に染まっている」「これまでの経営者を慮っている」としか思えない。それとも、これまでの日本企業は政府と協議し、政策を提案することで経営してきた。その方法と勝手が違うのかもしれない。つまり、comply or explainとは、半分だけだが「企業自身が考えて行動しろ」と言われたに等しい。それに戸惑ったのかも。日本企業が考えることに慣れていないだろうか。とすれば、ますます「日本の名門大企業って何や、大丈夫か」と思ってしまうのだが。
2018/03/31