先日、大機小機(一直さん)を読んでいて変だなと思った。ざっと読んだだけ、うろ覚えながら、アメリカの中国に対する通商政策が通信やハイテク分野での優位性を保つことに主眼があると書いてあった。でも、トランプの政策にそんなストーリー性があるのか。
一直さんとは、多分知っている学者である。彼にしては理路整然としていなかった。トランプの言いたい放題にごまかされたのか。
トランプの経済政策は懐古主義に尽きると思っている。古き良き時代を知っている層がトランプの支持基盤だということもあろう。
この筋書きの下、鉄、アルミ、自動車、石油がアメリカ経済を支えた古き良き時代を取り戻そうとしている。鉄やアルミの輸入関税、自動車に対する排ガス規制の緩和、原油やシェールオイル・ガスに対する規制緩和である。でもそれは、ない物ねだりか、やけっぱちかだろう。
これに対し、現在のアメリカの競争力を支えている新しい産業、インターネットやハイテク産業に対してはあまり関心がないか、古き良きアメリカを潰した犯人だとみなしているようだ。
アメリカがかつて寛容に受け入れた移民がインターネットやハイテク産業を支えていることを知っているのか知らないのか、移民に対する規制を強化しようとしている。最近ではアマゾンに対して「口撃」を加えている。中国との競争が激化しつつある現在、大統領がインターネットやハイテク産業に逆風を吹かせてどうするのかだろうと思う。この意味で、一直さんのコラムとトランプの政策とは相容れない。
トランプは人気を挽回するため、またロシア疑惑を乗り越えるため、必死なのだろう。だから、大統領選挙に出馬する前と同様の自己主張を連発している。
その当時と今の違いは、当時は泡沫的な大統領候補だったのに対して、今は大統領であることに尽きる。そんな大統領が自分の好みで機関銃を打ちっ放していいのかどうかである。泡沫候補なら許されることも、大統領では大いに問題含みだろう。
アメリカも情けない状態になったと思う。とはいえ、EUが信頼に足るのか、日本はどうなのか。ましてや中国はと問えば、まだアメリカがまともな国かなと思わざるをえない。
大変な時代である。そんな中、自己顕示欲の強い国のトップが必要なのか。アメリカでは機関銃の規制強化が検討されている。トランプの出まかせ機関銃も規制すべきではないのか。
2018/04/03