川北英隆のブログ

日本株投資に強気過ぎでは

先週末、QUICKの年中行儀、株式・債券アンケート調査の関係者向け公開セミナーが開催された。メインゲストは元日銀審議委員の木内氏だった。その後、株式と債券のアンケート調査票を作成しているメンバーから、株価と債券価格見通しが議論された。
個人投資家にとって一番注目される株価について、どこまで上がるのか、もしくは下がるのか議論はなかった。株式や債券のうち注目していい(つまり投資していい)対象が何なのか。4人のパネラーが推奨する投資対象とその理由を述べた。
結果はというと、うろ覚えではあるものの、パネラーのうち株式関係者は国内株に強気だった。ではアメリカ株に対しても強気かというと、弱気ではないものの、強気でもなかった。この結果に対して、変だなと思った。
パネルが始まる前に、QUICKアンケート調査の対象者を含めて全員の、投資対象への強気、弱気の結果が公表されていた。ここでも、日本株とアメリカ株に関して、パネルと大差ない結果(つまり日本株に強きの結果)が得られていた。
為替レートの問題があるものの、つまり円高に振れる可能性を考慮したとしても、アメリカ株よりも日本株に強気との結果は疑問だと、今でも思っている。
何故なのか。
1つは、日本経済が輸出次第であり、その輸出がアメリカ経済に左右されるとの事実である。アメリカ経済が停滞すれば、日本経済がこける。大昔に言われたような、アメリカがくしゃみをすれば日本が風邪を引く、そういう状態が新たに生じている。
現状は、この逆が生じたため、安倍政権の経済政策が成功したかに見えている。言い換えれば、アメリカが少し元気を取り戻したので病弱な日本が少しは健康体になった。この見解は、当日の木内氏の見解と大きな齟齬がなかったと思う。
もう1つは、関係者の希望的観測が入っていたと思える。もちろん、パネラーが嘘をついたとは思わない。しかし、関係者は直接、間接かはいざ知らず、買いポジションとその形成に加担(関係と表現した方がいいかも)している。とすれば、希望的観測が入っても仕方ない。
「で、あんたはどうや」と問われれば、実は僕にも日本株のポジションがある。「日本株、上がるで」と言うのが、ポジションとして都合がいいかもしれない。一方で、アメリカ株のポジションもある。このため、「アメリカ株、上がるで」との立場でもある。
ポジション量としてほぼ半々だから、どちらが上がっても大差ない。ということで、日本株とアメリカ株の観点からは中立に近いだろう。
日本企業にも優れた企業がある。しかし、その日本企業は、特定の企業を除いて個性に乏しい。一方のアメリカ株は個性が強い。個性が強ければ株価が上昇するという単純な関係にはないだろうが、個性がなければ現在の企業として失格であるのも確かである。
以上から、為替レート問題を除きつつも、アメリカ株よりも日本株が推奨とのパネラーの意見には納得できなかった。
ついでに、僕は円安の不安をかかえているというか、自分の財産に占める円のポジションが多すぎると思っている。このため、ドルのポジションを作りたいとの意識が強いのは事実である。
以上の情報に基づき、最終判断するのは読者だろう。老婆心(老爺心かな)ながら、意思決定したとして、損得が生じるものの、生死に関わる問題でもない。気楽に意思決定するのが正しいだろう。

2018/04/23


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