川北英隆のブログ

スマホではなく経済を見て歩く

企業経営では現場が重要である。いくら頭で考えたとしても、実態を知らなければ机上の空論である。理論的な学問はあるが、理論的な経営はない。経営に関する理論は後付けである。ほぼ同じことながら、スマホを見ながら街を歩くのは「アホ」の象徴だと思っている。
僕だって時々、街中でスマホを見る。道に迷った場合である。山歩きと違って街中で目的地に迷わずに行き着くのは難しい。ましてや行く度に変貌する東京は大変だ。
そんな時、歩きながらは不可能に近い。僕の場合、目的地を事前に打ち込んでいないから。自分の位置を確かめ、目的地を確かめ、それから歩くのが正統な方法だろう。
それはともあれ、街中をふらふら歩くと情報収集になる。何が流行っているのか、どんな傾向があるのか、ふと閃くときがある。いくつかの街というか都市を歩き、比較すると、栄枯盛衰も見えてくる。不動産屋なら、投資すべき物件のヒントが得られる。
そんな大事な機会を逃すようにスマホを見ながら歩いて満足なのか。スマホなんて、いつでも見られる。サービス残業をするくらいなら、適当に席を外してスマホを見ればいい。
それよりも、街を歩く機会は多くない。今日と1月後と、比較するだけでも得るところがある。
政治的な議論に発展しているように、スマホの情報はワンパターン社会を作り出す。ワンパターンを言い換えると「他人と同じ」である。「他人と同じ」は心の安寧を生み出すものの、断崖絶壁の海に向って一斉に行進するネズミ類(レミング)と同じではないのか。これから、スマホ人を「ネズミちゃん」と呼ぼうかな。
ネットの時代は非常に便利である。今まで想像できなかったような大量の情報を簡単に提供してくれる。
「でも」と思う。そんな、どこにでも転がっている情報には価値がない。むしろマイナスの価値だろう。投資で他人と同じことをしていると、高値つかみになりかねないので。
価値があるのは独自の情報である。独自の情報を得るには、まずはネットから離れるのが一番である。その上で感性を研ぎ澄ませ、バーチャルではなく、実社会を見て、得たヒントを手がかりとして考えることに尽きる。天才なら別だろうが。

2018/05/03


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