ピコ島は大きな島で、複数の火山から形成されている。そのピコ島、メイン部分はピコ山の裾野である。かつて、西隣のファイアル島との間にもカルデラ(つまり火山)があり、お互いに繋がっていたらしい。現在ではそのカルデラが侵食されてしまい、2つの島に分かれた。
ピコの空港に降り立ち、島の西端の港町、マダレナのホテルに入った。
アゾレス諸島に入ってから天気は今一つだった。サンミゲル島に着いた日はともかく、翌日のカルデラハイキングでは雨が降った。翌日の地獄めぐりは曇り、夕方にピコ島に着くと雨になった。アゾレス諸島の雨は、多くの場合にわか雨のようだが。
「7月は晴天率が高いのになあ」と嘆きつつ、ホテルに入った。現地ガイドによると、翌日予定のピコ山の登山日も、午前中は雨、午後に晴れてくる予報とのことだった。ネット(Wi-Fi)で確認しても、にわか雨の予報だった。
翌朝起きると、驚いたことに晴天だった。ホテルからピコ山がくっきりと見えた。どうもアゾレス諸島の天気予報は難しいらしい。ポルトガル政府は、アゾレス諸島の天気予報のために、どの程度の予算を投入しているのだろうか。
それはともかく、前日の天気予報をベースに、その日は遅い時間(8.30)にホテルを出発した。車で30分ほど、高度1240メートルの登山口に着く。山頂は2351メートルだから、1100m程度の高度さである。
登山口には売店と管理事務所があり、入山届けを出す。それに対してGPSが渡される。このGPSは子供や老人用の携帯に付いているのと同じ機能で、迷子というか遭難対策用とのことである。
ピコ山の裾野は針葉樹の林だが、登山口付近は灌木帯になる。さらに上部は草(高山植物)だけになり、頂上部は岩稜(溶岩)だけになる。
登山口は頂上のほぼ真西に位置する。登山口から木の階段を上がり、灌木の間を30分ほど登る。溶岩ドームを越すと灌木の背が低くなる。山腹を南にトラバース気味に登り、その後に岩稜伝いの急登になる。
眼下に、ホテルのあるマダレナの町と対岸のファイアル島がよく見える。瞬間、雲がかかり、弱いにわか雨に打たれたが、ほぼ常時中腹にかかる雲のせいらしく、虹で終わった。
急登が終わり、道の傾斜が緩くなると山頂部のカルデラが近い。ピコ山の頂上は、そのカルデラの東端近くに屹立している。高度差約100メートル程度である。
写真はホテルからのピコ山である。雨の登山と晴れの登山では気分が違う。日本では雨の日を選んで山に入ることもあるが、海外の高山ではそこまでの気分的余裕はない。
2018/07/17