ピコ山の斜面は高山植物の花盛りだった。ただし、種類は多くない。アゾレス諸島自体、固有種が少ないのだろう。絶海の9島だから、鳥も多くを運べなかったと思える。
登山口付近ではドウダンツツジが咲いていた。ただし背が低かった。紅色の細長い花である。葉も日本のものより細長い。ピコ山の中腹付近でしか見かけなかったので、多分固有種なのだろう。
灌木地帯が終わるあたりから、ピンクの細かな花がたくさん咲いている。芝桜を細かくした感じである(写真)。登山口の事務所にあった写真からすると、Thymus caespititus と名付けられている。少し調べたかぎりでは適切な訳語がみつからなかった。英語での説明を読むかぎり、日本でのジャコウソウに近いようだ。そう考えれば、Thymus とはタイムのことか。
このピンクの花と同じ付近、もしくはその少し上に真紅の釣鐘状の小さな花もたくさん咲いていた。エゾツガザクラ風の花である(写真)。Daboecia azorica である。アゾレアのダボエシアという名である。調べると日本では園芸植物としてダポエシアが売られている。やはりツツジ科である。
白い花ではエリカに近い類だろうか、固有種ではないかもしれないがCalluna vulgaria(ブルガリアのギョリュウモドキ)、黄色い花ではLysimachia azorica (アゾレスのオカトラノオ)が咲いていた。
ピコ山の季節として、やはり7月が最適なようだった。
2018/07/19