ESGとは、環境(Environment)、社会(Social)、ガバナンス(Governance)の略称である。某公的年金が「ESGへ熱心に取り組む企業に投資する」とか宣言したため、にわかにブームが生じた。投資してもらいたいため、コンサルと契約する企業まで出現した。
そんな企業はもちろん、ESGを請け負ったコンサルに問いたいと切実に思ったのは、「本当に世界の今日の実像を見ているのかどうか」である。
5年ほど前だったか、安倍政権の初期の頃、「アフリカへの希望」が急速に膨らんだ。人口が爆発的に伸びているからというのが大きな理由だった。当時、疑問に思ったのは、アフリカだと騒いでいる連中が本当にアフリカの奥地を旅行したのかどうかである。
旅行したことがあるのなら、人口増加という量の観点だけではなく、教育という質の観点も重視できたはずである。2013年9月号の証券アナリストジャーナルでこの点を指摘した。エチオピアを旅行して感じたのは、日本での議論が、教育の重要性を見逃してことだった。
にわかESGに関しても、世界を見ないと的外れな議論になりうる。20年近く前、中国の峨眉山を歩き垣間見たのは、3000メートルの山頂にポリ袋が散乱している現実である。10年ほど年前、三峡ダムが完成する直前の揚子江には、今世界的に問題となっているブラスチック類のゴミが大量に流れていた。
僕が嫌いな職業人の1つがコンサルである。経験では「見てきたような嘘をつき」のコンサルが多い(もちろん、信頼できる人物を知っているとも急いで付け加えておきたいが)。要するに多くは口だけがうまいのである(猫の舌なめずりではないけど)。
そんな猫舌的、コバンザメ的コンサルを含め、にわかに「これからはESGだ」と叫んでいる輩に質問したい。
1 コンゴ川は巨大な下水道なのか。YesもしくはNoの理由を付けて答えよ。
2 コンゴ川とセピック川は似たところもあるが、動物に関する大きな差を答えよ。
(答えは僕のブログにちりばめてある。って、宣伝かいなだが。)
アフリカの教育問題の現状に関する答えとともに、上の1と2にある程度答えられないと、コンサルに対しては「ほんまにESGができるのかいな」と反応したくなる。企業のESG担当者に対してはそこまで厳しく要求できないが、少なくとも、何の趣旨で質問しているのかはある程度は考え、答えてほしい。また、コンサルを雇っているのなら、彼ら/彼女らに同じ問いを投げかけてほしいと思う。
以上は主にEとSに関する疑問であるが、Gに関しても同じである。やはり場数を踏み、多くの事例を知らないことには、机上だけの調査や対応だけでは本質を謝ってしまう。とりあえず表面的に望ましい方向を採用しているかもしれないが、長い時間が経過すると、某著名T社がそうであったように、表面だけの対応にはボロが出る。(ウマさんには悪いものの)馬脚を現すとも表現できる。
2018/08/22