ヤウンバク村を出発する日はいろいろとあった。弔いがその1つだった。同行者が、葬儀でのシンシンを見たいものだと語っていたところ、「クロコダイルを捕まえた」との連絡が入った。「その様子を見学できる」とのことで、舟に乗り込むことになった。
とどめを刺す様子を観光にしているらしい。我々4人だけではなく、クロコダイルフェスティバルのあったアンブンティからも観光客(西洋人)が来るとか。その到着を待ってから、舟が湖に出た。
捕まってからだいぶ時間が経っていたらしい。クロコダイルは縛られ、木の枝に吊るされて水中に浮かべられていた。ほとんど息絶え絶えだったらしい。観光客が集まると、引き上げられ、斧で頭を叩かれて、それがとどめとなった。クロコダイルの口の中には、コウモリかネズミか、モリに刺さされた動物があった。
その後、陸にあげられ、棚の上に置かれて解体された(写真)。現地にとって、クロコダイルの皮は貴重な現金収入である。といっても、写真のもので、400-500キナ(1.5万円前後)らしいが。
皮は背側から割かれる。皮と肉は簡単には剥がれないから、時間がかかる。我々には解体を最後まで見る時間的余裕がなかった。「クロコダイルを食べていかないのか」と聞かれたが、当然「(時間的に)ノー」だった。最初の日、ウエワクのホテルで食べたし。
ヤウンバク村に着いた日、干されたクロコダイルの皮を見せてもらった。セピック川の玄関、パグウィでも干した皮と、捕まったばかりのクロコダイルを見た。野生のクロコダイルが結構棲息しているらしい。
そんな川で現地人は水浴びしている。「大丈夫なの」と質問すると、「めったに食べられない」らしい。でも、「お父ちゃんの仇」、「お母ちゃんの仇」があるかもしれないのに。
そうそう、西洋人の観光客、とどめの一発も解体も興味深げに観察していた。「どこか鯨と違うんかいな」と質問したかったが、さすがにしなかった。
2018/08/18