某データセンターを見学する機会があった。アメリカではというか世界ではグーグルのデータセンターが一番有名である。内部の写真が公開されているので参考になる。
https://www.google.com/about/datacenters/gallery/#/
今回見学したのは日本だし、当然グーグルのものではない。日本の某所にある某センターだし、事前にはあまり期待していなかったから(というか当日見れば済むやんと思っていたから)、今となってグーグルの様子を事前に見ていれば、もっと比較できたのにと思う。残念。
グーグルのデータセンターがある場所はにわかに特定できないのだが、アメリカとフィンランドの2つだったか、大雑把な位置が示されている(ノースカロライナのセンターはほぼ特定できた)。それを見るかぎり、地震の少ない場所かなと思う。日本の場合は地震が大問題になるから、見学でもそれへの対応が強調された。
建物が免震構造である。稼動中のコンピュータやサーバーを乗せた建物が強く揺れるとディスクが壊れてしまうから。余談に近いながら、記憶装置がチップになるとどうなのかは質問しなかった。その時にはコンピュータやサーバーが転倒したり床に落下したりしないかぎりは大丈夫なのだろうか。
免震構造にするため、建物の床には礎石の代わりにゴム製品が多数使われている。しかも、(サーバーなどの乗らない)一般のフロアと遮断するための隙間が設けられている。これも余談に近いが、どこのゴム会社か質問したところ、東洋ゴムではなかった。建設時の見積もりでは東洋ゴムの方が安かったが、最終的にはB社になったとか。
説明の順序が逆になったが、入館はもちろん、データセンターのコア部分に出入りするためのセキュリティは厳重である(詳細を書いてはダメだろうが)。当然予想できるように、監視カメラが何台も設置され、それを監視用モニターを使って職員が見張っている。スパイ映画というか破壊映画の世界である。
サーバー類は大量の電気を使うし、データセンターだから一瞬の停止(停電)も許されない。大量の熱を発する。その冷却のために巨大な空調設備と大量の水も必要となる。これらの対策が地震とともに重要なのは、グーグルのデータセンターのことをちらっと読んだ記憶で知っていた。見学した施設でもこれらの対策に工夫が凝らされている。
電力会社からの複数の経路で電力を引き込んでいる。蓄電設備がある。自家発電の設備がある。自家発電のために、日本では燃料の備蓄が必要である。火災を想定して消火装置も充実している。
グーグルでは太陽光発電、風力発電なども併用しているようだ。これらは非常用というよりも、外部からの購入電力を減らし、さらにエコを目指すためだろう。
空調も予備の設備があった。夜間電力を利用して水を冷やしておき、それを昼間に使う工夫もある。サーバー類では空調の設計(空気の流れの設計)が重要になる。グーグルを見ると、寒いフィンランドに立地させ、さらに海水を使っている(?)ようだ。
加えて、電源や通信回線のコードの問題もある。これもグーグルの写真にあるように、管理を容易にするため、いかに整然と引くのかが重要になる。従業員が常駐する事務棟の問題もあろう。設備の問題では人間よりもコンピュータやサーバーに多くのコストがかかる。事務棟とサーバー類の建物とを分ける(人間は相対的に貧弱な建物ですます)ことが大切だと思えた。
後は、データセンターを使う側としてのデータのバックアップの問題(万が一データが壊れることを想定した場合、離れた別の場所で同じデータを持っておく必要がある)、データをデータセンターに流す通信回線の問題だろうか。
考えれば考えるだけ難しく、莫大な費用がかかる業務というか事業だと納得した。
2018/08/23