経団連の新しい会長はんが就職活動に対する規制(解禁日など)をなくしたいそうである。察するところ、身内?はともかく、誰も本気で従わないからだろう。そんな誰も従わない規制なんて廃止するのがいい。ただし、学生を勉強させるように仕向けるのが条件である。
このブログで何回も書いてきたように、企業の就職活動は無法地帯に近い。まさに合成の誤謬で、各社は優秀な学生を採用するために必死なのだろうが、そんな就職活動のおかげで学生の能力アップが図られず、日本全体の能力が低下する。文系の学生がとくにそうである。
経団連には頭のいい連中がいっぱいいる。日本の学生の能力をアップしたいと本気で考えるのなら、方法はいくつかある。
それとも、経団連には頭のいい連中は、自分達がろくな勉強もせず、それでいて企業内でちゃんとした地位を得たものだから、大学時代の勉強なんてどうでもいいと考えているのだろうか。そうであるなら、「やっぱり」である。世界との競争に勝てない理由がそこにあったと。
勉強と就職活動を両立させる方法として考えつくのは、次の2つである。
1つは、学生と企業の対面的な接触の期間についての工夫である。具体的には、講義などの学業に打ち込むべき期間を除かないといけない。言い換えると、企業が学生と接触できるのは日曜日にするか、夏休みなどの休暇期間中に限定すべきである。逆に、この期間内であれば、1回生(1年生)からでも問題がない。
この期間限定ルールを破った場合(その情報が入った場合)、その企業が経団連へ加盟しているかどうかを問わず、企業名を公表すべきである。
もう1つは、文科省と真剣に折衝し、学生の卒業基準の厳格化に注力すべきである。大学卒業のレベルに達していなければ、進級や卒業(大学院であれば修了)させないことである。大学に入ってしまえば、その後、余程のことがないかぎり卒業できる今の日本の大学のシステム(もっと言えば文科省の指導)は変すぎる。というか、現実を直視していない。
学生がアルバイトや就職活動にうつつを抜かしているのに、それで卒業できなければ、教育の仕方が悪いとなってしまう。手取り足取り学生の指導が可能なのか。教員の数、その教員を雇うための学費だけを考えても、そんな理想の教育が夢のまた夢であるのは当然としか思えない。大学側の努力の余地は認めるとしても、学生にも努力させる仕掛けが必要であり、その1つが「落第」ということになる。
いずれにしても経団連は学生の質を上げるための工夫に力を入れるべきである。単純に就職活動解禁のルールをどうすべきなのかを議論するだけでは、日本の一流企業の集まりという金看板が泣く。
2018/09/05