川北英隆のブログ

宇治で老舗茶屋を見学-1

機会があり、宇治を味わった。奈良の出身者にとって珍しくもない土地ながら、宇治を意外と知らない。源氏物語の「宇治」とはどこなのかも定かでない。知っているのは平等院、黄檗寺(万福寺)程度か。山歩きで(どこの山や)駅に降りたこともある。
最初に行ったのが老舗の茶屋である。お茶屋の姉ちゃんの茶屋でない。宇治茶を扱う商家である。宇治は茶を扱い、公家や武士の上流階級が住まう京都、つまり大消費地が近かったために栄えた。その商家が宇治の中心部(平等院近く)に軒を連ねていたとか。
今回訪問したのは「中村藤吉本店」である。JR宇治駅から徒歩2分程度。ちなみに、「ブラタモリ」にも宇治茶の老舗が登場したとか。それは京阪電鉄宇治駅近く、やはり徒歩2分程度の「通園」である。調べると、「通園」の横には宇治川が横を流れているから、絵になるのかもしれない。
今回の「中村藤吉本店」は昔ながらの商家の門構えを残している。そのホームページのトップにもあるが、店の写真をアップしておく。大きな商家だったようだ。安政元年(1854年)創業とある。現在の当主(社長)は6代目である。座敷には歴代当主(当主夫妻と言うべきか)の写真が並べられている。
日本茶の技術革新は、1つは覆いをかけて茶の成分を調整したこと(苦みを抑えたこと)で、これにより玉露や抹茶ができたという。もう1つは蒸す技術で、京都は浅蒸し(30秒程度)、関東は深蒸し(その3倍程度)だとか。
京都は水(地下水)がいいので、香りを楽しむ浅蒸しが好まれてきた。東京は水(水道水)が良くないので深蒸しが発達したらしい。
最上級の玉露を少し深めの盃のような入れ物で味わった。たっぷりの茶葉から出した茶が、その入れ物10杯程度に注がれる。濃厚な出汁のような、かつ甘い味わいがあった。昔は砂糖がなかった(あったとしても非常に貴重だった)ので、その代わりに玉露を味わったとも説明してもらった。
この玉露、100グラム15000円するらしい。ネットで調べると、「別製玉露」なるものは80グラムの缶入りが16200円(税込み)とある。茶葉10グラムと100ミリの湯(60度)で出すのがお勧めとあるので、そこから10杯取ると、10ミリの玉露が150円はする。「ほんまに露の玉や」と思う。もう少し真剣に考えると、100ミリの湯の相当量は茶葉に吸われてしまうだろうから、飲む分だけでいうと、その倍の値段くらいではないだろうか。
今年の茶は品質が悪く、去年の最高級茶葉がなくなると、当面(来年まで)そのクラスの売り物がないとも言われた。それと、最高級の茶葉になれば、どこの畑のどの付近でしか取れないとか。ワインの最高級品のようである。
比較のため、普通の玉露も味わった。確かに、スカみたいに感じた。当然、普通に飲んだら味わい深いだろうとは思うが。飲む順番があるようだ。
20181031宇治茶の老舗.JPG

2018/10/31


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