川北英隆のブログ

宇治で老舗茶屋を見学-2

茶のことを書ききれなかったので、続きである。玉露の後、煎茶を飲み、かぶせ茶を飲んだ。それぞれ個性がある。
煎茶は我々庶民が普通に飲んでいる茶である。茶畑に覆いをせずに育てるため、玉露に比べると苦み成分が多い。どのくらいの苦みかというので、濃い目の煎茶を最初に入れてもらった。もちろん、飲むための入れ方であり、実験用ではない。苦みが強かったが、一緒に出された菓子を味わうには、なかなかのものである。苦みだけでなく、甘みも香りもある。
普通の入れ方をした煎茶も飲んだ。上手に入れると美味いものだと思った。急須に残った茶葉の香りも爽やかである。浅蒸しだと2、3回は入れられるという。
その煎茶だが、「正直なところ、宇治よりも他の産地の方が上」とも。ただし、茶葉は山側か川側か、近くにどのような木があるのかなど、環境によって微妙に味や香りが変わるのだとも。やはりワインと同じか。
最後にかぶせ茶もいれてもらった。覆いの日数が玉露よりも少なく、結果として煎茶との中間の味わいになる。庶民としては一番美味い茶かもしれない。
この茶葉というか玉露、産業として宇治に独占権が与えられたこともあった。都が東京に移り、京都の経済力が落ちると、茶業も壊滅的な打撃を受けたので、アメリカへの輸出に力が注がれたらしい。当時の輸出用のラベルを見せてもらった。いろんな銘柄名が英語で書かれ、図が入っていた。一時は絹に次ぐ輸出量だったとか。
緑茶の代わりに紅茶も作られたらしい。確かにあったなと思う。しかし、品種や気候の差から、日本の茶葉は緑茶以外に向かないのだろう。
現在は海外でも日本茶がブームになっていて、中国が茶で日本を追い越そうとしているとか。その代表が抹茶とのこと。中国が抹茶の定義を国際標準化機構(ISO)に申請して、日本が慌てているらしい。2017年5月の読売新聞に掲載されている。
http://melety.com/archives/15898
ペットボトルの茶は、オーストラリア産の茶葉を使ったものもあるらしい。ペットボトル1本に付き、2-3グラムの茶葉でいいらしいが、日本食ブームである。ペットボトルの茶を海外向けに大量生産するとなると、広大な土地が必要になる。日本の茶葉は輸出相手国の農薬の基準もあり(日本では独自の農薬を使っているため、基準をなかなかクリアできない)、海外向けは海外の茶葉を使うとも。
いろいろ聞いたことをメモ代わりに書いた。いずれにせよ、茶は奥深い。

2018/10/31


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